災害時のWEB活用、ビルダー・工務店がやるべきことHP・WEB関係,経営・人材育成
ここ数ヶ月、日本国内では豪雨・台風・地震と、大規模な自然災害が相次ぎました。工務店MBAでは、住宅業界のネット活用について度々解説していますが、今回はネット活用を「災害時の情報発信」という観点で考えていきたいと思います。
相次ぐ自然災害、地元ビルダーはどう対応したか
災害が発生した際の情報収集ツールとして、ホームページ・メール・SNSなどといったネット関連ツールの重要性が年々高まっています。
とりわけ、9月6日に発生した北海道地震では、大規模な停電に見舞われたこともあり、スマートフォンなどを経由して収集できるネット経由の情報が、極めて重要な役割を担っていたようです。
テレビは見ることができず、ラジオも多くの若年層にとっては、決して馴染みのあるメディアではないからです。
テレビのニュースなどでは、停電下で充電できないスマートフォンを極力長持ちさせる方法を、繰り返し紹介していました。非常時において、スマホがいかに重要なツールであるかを示しています。
住宅業界に目を向けると、災害発生時には、地元ビルダーからの情報発信が、各社のホームページや公式SNSアカウント上で数多く見られます。
住宅に関する相談窓口の案内・営業休止や営業再開のお知らせといったお客様・OB客へ向けた情報に加え、地域の住民向けに「自社の工事現場のトイレを開放する」「自社ショールームで給水活動を行う」などの発信が行われるケースもあります。
前述の北海道地震では、大規模な停電の発生を踏まえ、OB客向けに「太陽光パネルの非常用電源を稼働させる方法」を案内するビルダーや、地域住民向けに「本社の太陽光発電で電源を確保したので、日没までスマホの充電用に開放する」と告知するビルダーも見られました。
日頃の積極的な情報発信が「万が一」にも活きる
日頃からSNSなどで積極的な情報発信を行っているビルダーの場合、多くのフォロワーを抱えているケースも少なくないため、OB客に向けたいち早い情報伝達や、地域住民への情報の拡散・安心の提供にもつながったと考えられます。
ビルダーをはじめとする住宅関連の企業は、災害時には、お客様の住まいの安心・安全を守る必要が生じます。ネットに関して言えば、住まいに問題が生じたOBのお客様が、情報を求めて施工会社のホームページにアクセスする可能性も高いでしょう。
ホームページやSNSを通じて日頃から積極的な情報発信を行うことは、通常時の自社PRだけではなく、万が一の際にお客様へ安心を届けるためのトレーニングにもつながるのかもしれません。
一方で、災害の際には、ビルダーや従業員自身も被災者となります。状況によっては、情報発信がままならないこともあるでしょう。
災害発生後、ホームページや公式SNSの情報が災害前のままストップするビルダーも多く見られますが、致し方ないことであると思います。そこで各社で行っていただきたいのが、災害時に備えたコンテンツをホームページに用意しておく方法です。
あるビルダーでは、過去に自社エリアが大規模災害に見舞われた際の経験を踏まえ、災害時の備えについてまとめたコンテンツをホームページに用意し、台風接近時などにはトップページの目立つ位置からリンクを貼っています。
事前の備え・緊急時の応急処置に加え、連絡先は自社のアフターサービス窓口だけでなく各種ライフラインの窓口も網羅しています。万が一災害が発生し、ホームページに手が掛けられない状況になった際も、このようなページを設けておけば、お困りのお客様に情報を届けることができるかもしれません。
ホームページ活用というと、つい営業活動にばかり目が向きがちですが、「どのような時にもOBのお客様へ安心を届ける」ことも、住宅会社のホームページの大切な役割なのかもしれません。
(情報提供:住宅産業研究所)