住宅市場における業態別シェア分析市場動向,ハウスメーカー
住宅を供給するプレイヤーは、家族経営の小さな工務店、特定の地域でシェアの高い地域密着型ビルダー、広域展開型のパワービルダー、大手ハウスメーカー、ゼネコンの戸建住宅部門など、会社の規模や業態は様々です。かつては、、、
各地の大工や工務店による地場産業が中心だった住宅市場において、プレハブ工法による工業化住宅に移行するとともにハウスメーカーが展開するエリアを広げ、その後、低価格化を推し進めるパワービルダー、ローコストビルダーが勢力を拡大してきました。
パワービルダーの低層住宅シェアが拡大
現在の住宅市場はどのような勢力図になっているでしょうか。(株)住宅産業研究所では、低層住宅を供給する会社を業態・規模別に以下の7区分に分け、それぞれの着工棟数シェアを算出しています。
・ハウスメーカー(大手9社、準大手10社、アパート専業3社)
・パワービルダー500(年間着工棟数500棟以上)
・パワービルダー200(同200~499棟)
・ビルダー100(同100~199棟)
・ビルダー20(同20~99棟)
・工務店5(同5~19棟)
・工務店1(同1~4棟)
少し古いデータになりますが、同社が直近で集計している16年度の低層住宅着工に占める各区分のシェアは以下になります。(カッコ内は06年度からの増減)
・ハウスメーカー:25.6%(+0.4pt)
・パワービルダー500:18.6%(+9.2pt)
・パワービルダー200:6.6%(±0.0pt)
・ビルダー100:5.8%(▲0.6pt)
・ビルダー20:17.9%(▲1.5pt)
・工務店5:13.4%(▲2.6pt)
・工務店1:9.9%(▲2.3pt)
ハウスメーカー/パワービルダー/ビルダー/工務店の大分類4区分で見ると、それぞれほぼ1/4ずつのシェアとなり、各供給主体が拮抗していると言えますが、10年前の06年度のシェアと比較すると、勢力図が変化してきていることがわかります。
【ハウスメーカー】はシェア1/4を維持し続けていますが、【ビルダー20】【工務店5】【工務店1】のシェアは年々低下しています。
そしてこの10年で最もシェアを伸ばしているのが【パワービルダー500】です。中小がシェアを減らし、パワービルダーがシェアを拡大しているという、市場の寡占化が進んでいると言えます。
利用関係別に見ると、パワービルダーによる市場の寡占化が最も進んでいるのが、分譲(建売住宅)です。分譲では【パワービルダー500】のシェアが46.7%と圧倒的で、10年で21.7pt増えています。
【パワービルダー200】も合わせると、年間200棟以上を手掛けるビルダーが分譲住宅の過半数を建てていることとなります。
飯田グループ6社や、首都圏のオープンハウス、三栄建築設計、北関東を中心とするケイアイスター不動産、グランディハウス、近畿のフジ住宅等、年間1,000棟を超える規模の大手分譲ビルダーは、棟数・売上をますます拡大しています。
土地オーナーの開拓や一括借上、賃貸管理等のノウハウが必要な貸家は、アパート専業業者を含む【ハウスメーカー】が58.3%のシェアを占めています。
持家(注文住宅)では、【ハウスメーカー】の29.7%に次いで、【ビルダー20】のシェアが19.4%と高く、年間20~100棟を手掛ける地域の中堅~トップクラスのビルダーが検討しています。
持家でも【工務店5】【工務店1】のシェアが低下してきているのに対し、10年前と比較すると【パワービルダー500】が4.8%→8.6%、【パワービルダー200】が4.9%→6.2%とシェアを高めており、ここでも大手ビルダーの勢力が拡大しています。
住宅会社は10年間で1万社以上減っている
16年度に低層住宅を手掛けた住宅会社は35,291社で、10年間で17,218社減少しています。平均すると年間1,722社が減っていることとなりますが、減少ペースは前半と後半で異なります。
2006年度~2010年度:▲2193社/年
2011年度~2016年度:▲764社/年
住宅会社減少のペースは落ち着いてきていますが、今後も住宅市場の縮小と並行して休廃業する工務店が増え、全体の業者数は減少を続けることが予測されます。
(情報提供:住宅産業研究所)