狭小地でも設計提案力を発揮するハウスメーカー商品・トレンド,ハウスメーカー
2018年上半期、ハウスメーカーから狭小地向けの住宅商品が多く発売されました。限られた敷地面積の中で、空間を最大限活かした住まいのアイデアを提案することで、ユーザーの興味関心を惹きつけています。今回紹介する狭小地向け住宅商品の特長は次の3点です。
1)狭小地でも断熱性・気密性向上かつ太陽光システム搭載でZEH性能を発揮
2)斜線規制等にフレキシブルに対応
3)吹抜けや造作家具等で狭小地でもこだわりのある空間設計を実現
1)に関しては敷地面積に応じて屋根面積が限られるため、十分な太陽光発電パネルを設置することができず、これまで狭小地におけるZEH建設は困難でした。そこで断熱性や気密性を向上させ、屋根形状を工夫し太陽光設置面積を確保することで克服しています。
2)に関しては、ハウスメーカー各社で独自開発した構造躯体により、フレキシブルな屋根形状を実現することで問題を解消しています。
3)についても、造作家具や吹抜けなど顧客ニーズに対応できる設計でユーザー満足度を高めています。
最大5.4m幅の大開口とZEHを両立する都市型住宅
ミサワホームは創立50周年を記念する商品として4月末に北海道・沖縄を除く全国で「CENTURY Primore 3(センチュリープリモアスリー)」を発売しました。同商品は、都市部でもZEHに対応できる点が大きな特長です。
構造躯体を形成する「センチュリーモノコック」は最大5.4m幅の大開口を実現しながらも、優れた断熱・気密性能を発揮する木質パネル接着工法により、120mm厚のコンパクトな壁厚でUA値は0.5以下を容易に達成します。
また、高度斜線や日影規制に対応する急勾配屋根と、太陽光発電パネルをより多く搭載できる緩勾配屋根を混用する「異種勾配屋根」を新たに開発したことで、都市部におけるZEHを実現可能としました。この「異種勾配屋根」の運用を拡大することで、準防火地域における3階建住宅も建設することができます。
さらに、急勾配屋根の直下を高天井の広々とした空間として活用するプランや、1階床の一部をスキップダウンさせる提案を盛り込むことで、空間バリエーションを拡充しています。
また、同社では暮らしに対する多様なニーズに対応するため、ライフスタイルを6つにカテゴライズしたインテリアスタイルを提案しています。
同商品では、富裕層を意識し上品さや優雅さをイメージした「ALL LUXURY」スタイルおよび「With Elegance」スタイルを導入し、新たに内装の造作システムや新色の床材などを開発しました。
外観デザインについてはサッシやバルコニーなどの部品に落ち着きと統一感を持たせる目板や庇、外装材などのオリジナルアイテムによって、重厚感のある美しいファサードを形成しています。販売目標棟数は、2019年度までにセンチュリーモノコックブランドで年間1,000棟。「CENTURY Primore 3」としては、首都圏、関西、地方都市圏の準防火地域を中心に240~250棟の販売を計画しています。
都市部の斜線規制に対応、「3階リビング」で差別化
パナホームは、この4月から「パナソニックホームズ」として新しいスタートを切りました。同社の商品で都市部をカバーしているのは、パナホーム時代に発売した3階建て住宅「Vieuno 3E(ビューノスリーイー)」です。
同商品の特長は、豊富な屋根形状と、それを活かして眺望の良好な3階部分に最大天井高3.1mを確保した「3階リビング」提案です。また、断熱性に優れた「アルミ樹脂複合サッシS」の標準採用とZEH基準の断熱性能向上に加え、発電効率の高い太陽光発電システムを搭載することで、ZEH対応も可能としています。このほか、15cmきざみで調整可能な設計システムを採用したことにより、複雑な形状の土地においても最大限延床を確保できます。
また、フロア間のスムーズな移動を実現するため、パナホーム時代を含めパナソニックホームズとして初のパナソニック製ホームエレベーターを標準搭載としたことも特長の1つです。
同社ではこれまで、Vieunoシリーズで最大9階建ての多層階住宅を建設できる技術力を訴求してきました。Vieuno 3Eの発売を機に、改めて3階建てをメインに多層階住宅マーケットのシェア拡大を目指しています。
(情報提供:住宅産業研究所)