2018年度中に始まるものと変わるもの業界ニュース,市場動向,ハウスメーカー
前回は、2018年度が始まった4月1日から新たにスタートした2つの制度についてご紹介しました。今回は、2018年度中にスタートするものと、2018年度から変わったものについて見ていきます。
住宅宿泊事業法施行で民泊ビジネス本格化
今年の6月15日に施行されるのが、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法です。
民泊新法の施行により、これまでグレーゾーンで運営されてきた民泊が一定の規制に基づけば、合法で事業を営めるようになりました。2017年12月には、民泊の関係省庁が民泊新法に関するガイドラインを発表し、衛生管理や騒音防止の説明、苦情や問い合わせなどに適切に対応するように各民泊事業へ求めています。
さらに「民泊制度ポータルサイト」や、「民泊制度コールセンター」も開設しています。一般的に民泊とは、普通の民家で宿泊サービスを提供することを指します。
しかし、日本では、宿泊料金を受け取って、人を宿泊させるには、旅館業法の許可が必要であり、適切な衛生管理や保健所の検査など、様々な条件をクリアする必要がありました。
訪日外国人の増加や、2020年の東京五輪での宿泊施設が不足するといった問題などもあり、国は2013年に旅館業法の適用を除外する「特区民泊」の制度をスタートさせました。現在までに、東京都大田区や、大阪府、大阪市、北九州市などが特区民泊として認定され、外国人観光客などが民泊を利用しています。
また近年、社会問題化している空き家を民泊として活用し、空き家の数を抑制するためにも民泊が注目されてきました。6月15日の民泊新法の施行を控え、3月15日には民泊に関わる各事業者の届け出や登録の事前申請の受け付けが各省庁で始まっています。
また、民泊新法施行を新たなビジネスチャンスと捉え、民泊関連ビジネスに参入する企業も相次いでいます。
コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンとJTBは共同で、全国のコンビニを民泊のチェックイン拠点として活用するサービスを、民泊新法が施行される6月中旬頃より開始すると発表しました。
店内の専用端末で、本人確認や鍵の受け渡しをできるようにするということです。民泊利用者は、事前に指定された店の専用端末「セブンチェックイン機」に設置されたカメラでパスポート写真や本人の顔写真を撮影し、タッチパネルで氏名や住所などを入力します。
JTBが運営する受付センターが遠隔で入力内容を確認し、端末の保管箱を開いて鍵を渡す仕組みになるということです。民泊利用者は、宿泊後に端末に鍵を返却すれば手続きは終了します。
セブン-イレブン・ジャパンとJTBでは、2020年度までに全国主要都市1000店舗での展開を目指しているということです。
税制、社名…2018年度に変わるもの
2018年度の税制改正大綱の住宅分野では、既存住宅の流通を後押しする特例措置等が盛り込まれました。既存住宅を事業者が買い取り、一定のリフォームを行って販売する中古買取再販事業において、事業者の物件仕入れにかかる不動産取得税の減額を敷地部分にも拡充されています。
国が税制を優遇する狙いとしては、やはり既存住宅の流通の促進、そして空き家の解消が考えられます。2018年度から社名を刷新した住宅会社もあります。
大手ハウスメーカーのパナホームは、4月1日付で社名を「パナソニックホームズ」に変更しました。パナホームは、2017年10月にパナソニックの完全子会社となり、パナソニックグループ全体で住空間事業の拡大を図る方針を取っていました。
ブランド名を「パナホーム」から、消費者に広く浸透している「パナソニック」に統一することで、家電や住宅設備などの様々なパナソニック商材との連携を強化していくということです。
ビルダーでは、熊本のエスケーホームが4月1日付で、社名を「LibWork(リブワーク)」に変更しています。リブワークでは、今後の人口減少や住宅の長寿命化などにより縮小していく住宅市場に対して戸建住宅事業を中核とした、生活創造企業を目指し事業の多角化を進めていくための施策の一環として社名を変更したということです。
来年10月には、消費税の引き上げが予定されています。注文住宅の場合は、2018年度中の3月31日までに請負契約を完了させれば、現行の8%で対応されるため、2018年度後半は、駆け込み需要が予測されます。
2018年度は住宅業界にとっては変化が大きく、目まぐるしい1年になるかもしれません。
(情報提供:住宅産業研究所)