大手ハウスメーカーのZEH対応新商品商品・トレンド,ハウスメーカー,太陽光/省エネ/ZEH関係
前回は、賃貸住宅や既存住宅といった新築戸建住宅以外のZEH対応事例を取り上げました。今回は、大手ハウスメーカーが新開発したZEH対応商品をご紹介します。
大手ハウスメーカーでは、最新設備の投入や屋根の形状を工夫することでZEH対応を可能にした商品が目立ちます。
延床面積20坪で10kW以上の大容量を実現
セキスイハイムは、創立70周年記念商品の第2弾として、鉄骨系平屋住宅の新商品「スマートパワーステーションGR“楽の家”」を7月28日より販売しています。
同商品は、セキスイハイムが1月に発売した「スマートパワーステーション“100%Edition”」に続く、ZEHを超えた「エネルギー自給自足100%」を実現可能にした商品です。
「楽の家」には、同社が新たに開発した寄棟タイプの屋根「スマートGルーフ」が採用されています。スマートGルーフは、太陽光パネル一体型の寄棟屋根になっておりトップがフラットの形状になっています。
トップのフラット面に加え、勾配屋根部分にも太陽光パネルを設置できるため、平屋で延床面積が20坪の住宅規模でも10kW以上の太陽光発電システムを設置することが可能となっています。
大容量PV(13.9kW)と大容量蓄電池(12kWh)、VtoHシステム(電気自動車の電池容量30kWh)を設置する建物では、「エネルギー自給自足100%」が理論上実現可能ということです。
また、大容量PV、HEMS、蓄電池に加え、サッシ枠への断熱材追加等の変更を施した「高断熱アルミ樹脂複合サッシ」を採用しています。さらに、基礎と天井の断熱において、寒冷地エリアの断熱仕様を一般地にも適用し、ZEH対応仕様を標準化しています。
販売価格は、延床面積94.24平米のモデルプランで、3.3平米あたり77万円台からということです。セキスイハイムでは、平屋住宅シリーズ全体として、年間1,000棟の販売を目標としています。
勾配屋根を活かした都市部向け対応商品
旭化成ホームズは、コンパクトな2階建都市型住宅商品「ヘーベルハウスキュービック」の新モデル「へーベルハウスキュービックルーミー」を6月1日に発売しました。
シンプルな立方体をベースとしたキュービックのデザインコンセプトに加え、2階の天井を押し上げることで空間を広げ、開放感のある2階リビングやロフト空間を提案します。屋根の南面を3.5寸勾配、北・東・西面を15.7寸勾配とするアシメントリックな「偏芯寄棟屋根システム」を採用しています。
南側に大きな屋根面を配置することで、30坪程度のコンパクトな建物でもZEH化に必要な約5kWの太陽光パネルを搭載することが可能となっています。
また、5月よりへーベルハウスに標準搭載された新断熱仕様「ヘーベルシェルタードダブル断熱」と組み合わせることでZEH基準を効率良くクリアしています。
モデルプランは、延床面積103.67平米で太陽光発電パネル未搭載の場合の建築費が2640万円ということです。太陽光発電パネルを搭載すると、150~160万円の追加費用がかかります。
販売地域は関東、東海、関西、山陽、九州北部で、年間250棟の販売目標を掲げています。パナホームでも新開発の勾配屋根を採用したZEH対応の新商品を7月20日に発売しました。
法的規制が厳しい都市部住宅地向けの3階建商品「ビューノ3E」です。同社では、敷地境界線を起点に高さと勾配を規制する斜線制限への対応と、太陽光発電システム搭載量を増やすことを目的に、左右で異なる勾配の屋根を開発しました。
狭小地の3階建で平らな屋根にすると、斜線制限で屋根面積が小さくなり、設置できる太陽光発電システムの搭載量が限られてしまいます。
新開発の勾配屋根では、平らな屋根に比べ最大で2.1倍の搭載量を確保することができるということです。太陽光発電システムには、発電効率が高いパナソニックの「HIT」を搭載します。
さらに断熱性に優れるアルミ樹脂複合サッシを標準採用し、ZEHへの対応を可能にしました。また、多彩な勾配屋根を採用したことにより、最大天井高3.1mの広い空間と、眺望や日当たりの良い「3階リビング」を提案しています。
他にも、フロア間の移動をスムーズにし、利便性を高めるために、パナホームとしては初めてパナソニック製ホームエレベーターを標準搭載しています。
パナホームでは、郊外に比べてZEH対応が進んでいない都市部の3階建住宅向けのZEH対応の解決策として、同商品を提案していく計画です。
(情報提供:住宅産業研究所)