民泊ビジネスに絡む住宅業界動向業界ニュース,市場動向,リフォーム・リノベーション
前回から紹介している民泊ビジネスに関して、今後さらなる拡大が予想されていることから、住宅関連会社でも民泊ビジネスへの参入を発表する会社が相次いでいます。
ライオンズマンションなどを手掛けている大京は、今春にも民泊ビジネスに参入するということです。大京の傘下で仲介会社の大京穴吹不動産が東京都大田区を中心に展開します。第1弾として、、、
京急蒲田駅から徒歩10分程度にある2階建ての物件を購入し、
今後改装していきます。
延床面積が100平米を超える大きさの4LDKの物件は、
4~5人の宿泊を想定し、
キッチンでの自炊も可能ということです。
宿泊予約は、自社サイト「旅家」で受け付け、
クレジット決済で宿泊料金を受領するシステムを導入し、
カギの受け渡しなどの事務作業は協力会社に委託する計画です。
宿泊料金は電気代、水道代を含め、
周辺のビジネスホテルよりも安く設定するということです。
また、大京穴吹不動産では、
大田区を中心に空き家の戸建住宅の購入を進め、
買い取った物件の資産価値が上がれば、
民泊利用をやめ、売却することも計画しています。
初年度は約100戸の空き家を買い取って改装し、
民泊サービスを展開するということです。
アパート・マンションの販売事業や
不動産賃貸管理事業を手掛けるシノケングループでは、
新築による民泊対応型のマンションの開発を推進しています。
現在、東京都大田区に
マンション1棟・総戸数46戸の建設を進めており、
2017年夏頃に竣工の予定ということです。
民泊対応型のマンションの間取りは1K~1LDKで、
平均販売価格は、2500~5000万円を想定しています。
また、シノケングループでは、
港区や豊島区などの国家戦略特区に開発中のものも含め、
新規物件7棟・約260戸を保有しているということで、
今後、各行政区における条例の制定に伴い、
基準に適合する物件を順次、
民泊対応型のマンションとして販売していきます。
さらには、同社グループで管理している、
全国主要都市約2万件の賃貸管理物件においても
民泊での運用を検討中ということです。
■ 民泊効果で盛り上がるリフォーム業界
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空き家などの中古物件を活用する民泊ビジネスは、
宿泊者が「ぜひ泊まりたい」と思える物件に改装することで、
競合物件よりも高い稼働率や単価の上昇が見込まれるため、
リフォーム市場にも良い経済効果をもたらすと考えられています。
そのため、リフォーム関連業界でも
民泊向けのサービスを開始する会社が増えています。
民泊向けリフォームサービスの「リンカー」を開始したのが、
東京都多摩市のトラストです。
余った部屋を民泊物件にしたいユーザーを対象に、
海外からの観光客が「泊まりたい」と思う
魅力的な部屋に改装します。
リンカーのメニューは2種類あり、
一つは床・壁をベースに改装するもので、料金は100万円弱です。
もう一つは、水回りの設備リニューアルを含めた改装で、
料金が300~500万円かかる大がかりな改装です。
営業活動は、物件のオーナーにかわり、
民泊マッチングサイトへの物件登録や、
宿泊希望者への対応などを行う、
民泊代行業者と連携して行います。
民泊代行業者は、
物件オーナーからリフォームの相談を受けることが多いものの、
専門的な知識がないため
改装提案ができないことが多いといいます。
そこで、
トラストが代行業者にかわり改装の相談を受けるというものです。
代行業者からの紹介で成約になった場合は、
工事代金の数%をバックする仕組みで、
トラストでは月10件の受注を目指しています。
東京都渋谷区のエイムズは、
民泊需要を見込んで設立されたリフォーム会社です。
エイムズでは、
老朽化し入居者がつかなくなった賃貸物件のオーナーに対して、
簡単なリフォームで再び賃貸として運用するのではなく、
海外旅行者向けのホテルとして
再生させるという提案をしています。
造作キッチン、クロス、タイルなどを一新させ、
料金が100万円のパックを開発・提案しています。
同社では年間100部屋の受注を目指しているということです。
今後、さらに多くの海外旅行者が
日本を訪れることが予想されることから、
国や自治体は民泊の規制緩和を促進し、
民泊に対応した施設は増加していくと考えられます。
それに伴い住宅関連会社でも
民泊ビジネスに参入する会社が増えるでしょう。
しかし、一方では
民泊によるトラブルも増加すると考えられるため、
宿泊者、近隣住民の双方が快適に過ごせる建物や
サービスを広めていくことが、
行政や建物を提供する住宅業界に求められています。
(情報提供:住宅産業研究所)