若年層ユーザーの現実(後編)市場動向
前回は、収入が減ったことで若年層は無理な買い物をしない「身の丈消費」や、好きなモノ、コトにお金をかけてそれ以外を節約する「メリハリ消費」が増えているという話をしました。これは言い換えれば、限られたものにお金を使うスタイルになったことで、所有するモノの数自体が減ったということです。
近年になって、レンタル市場や、カーシェアリングを代表とする、、、
シェアリングエコノミー市場が
右肩上がりの成長を続けていることも、
モノを持たなくなる大きな要因です。
DMMが展開する「DMMいろいろレンタル」は
家電や旅行カバン、ベビー用品など
4000点以上のアイテムをレンタルすることが可能で、
累計利用者は10万人を突破するなど、
モノを所有しないというニーズは確実に広がってきています。
こうしたサービスの成長により、
住まいからはモノが減り、
住まいにも更なるコンパクトさが求められつつあります。
持家の平均延床面積はこの10年間で10㎡以上縮小しており、
2014年度も前年から1.4㎡マイナスの123.6㎡となりました。
コンパクト住宅の一つの回答となるのが平屋です。
廊下や階段といったスペースを排除・削減することで、
延床面積に対して広い生活空間を確保することができます。
平屋は、年々着工が減少する住宅市場の中で
シェアを伸ばしてきており、
地価の安い郊外においては、
若年層からも大きな注目を浴びています。
■ 効率重視の住まい
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若年層は支払うコストに対して得られる価値、
いわゆるコストパフォーマンスに対しても敏感です。
住まいで言えば、
仕様やプランは限定されるが注文住宅よりも安価な企画住宅、
光熱費や売電で日々の負担を抑える太陽光発電、
新築から大きく価格が下がる中古住宅への関心は、
他の世代よりも相対的に高くなっています。
もちろん住まいで重視される価値は、
金銭的なメリットだけではありません。
例えば通勤時間についても、
共働き世帯の増加によって、
より短く済ませたいという傾向は強まっています。
アットホームが行った「通勤の実態調査2014」では、
夫の通勤時間0~19分では共働き率が52.0%だったことに対して、
100分以上では共働き世帯が21.6%となり、
夫の通勤が短いほど共働き率が高いとの調査結果が出ています。
当然中心部になるほど地価は高くなるので、
こうしたニーズからも
予算を抑えるコンパクト住宅は求められる傾向にあります。
また、シェアハウスのように、
住まいにおいて人との交流に価値を見出す若年層も増えていきます。
近年、若年層の友人関係意識には
「恋人よりも友達を優先する」
「多少自分の意見をまげても、友人と争いたくない」
といった強い仲間意識を持つケースが増えてきています。
若年層の新消費者像として注目されている
「マイルドヤンキー」も同様ですが、
強固な仲間意識、地元意識を持つ若者は、
就職や結婚、出産によって住居を大きく動かさない
という特徴もあります。
具体的に言えば、
今と変わらず仲間が集まれる「5km圏内」が新居の対象です。
住まいとしては、広いLDKや、開口部を広く取り、
庭との一体感を重視した人の集まりやすい間取りなど、
交流を促進するプランを好む傾向にあるという特徴があります。
(情報提供:住宅産業研究所)