ビルダー・工務店がリフォームを本格化するには?(後編)商品・トレンド,集客・マーケティング,市場動向,リフォーム・リノベーション
工務店・ビルダーが本格的にリフォームに取り組んでいくとすれば、まずはどのようなリフォームを狙って行くのかを明確にするべきです。
リフォームと言っても、その言葉が指し示す範囲は広いです。クロスや水道、電気系統の補修といった細かなものから、内外装の一新、住宅設備の交換、全面改装、古民家再生、集合住宅の1棟丸ごとリノベまで、本来であれば業種が異なる様々なものが、同じ「リフォーム」という言葉で指し示されます。
また、自社で新築を建てたOB客からのリフォーム需要を逃さないようにするのと、一般のリフォーム新規客を狙うのでは、営業戦略が異なってきます。
■ ビルダー・工務店が目指すべきリフォーム事業とは
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それでは、ビルダー・工務店はどのようなリフォームを
狙うべきでしょうか。
まず、自社で建てたOB客を他社に逃がしてしまうのは
もったいない話です。
ただし、OB客からリフォーム受注を得るためには、
定期点検訪問やアフターをしっかりやって
信頼を得ることが重要です。
また、例えば今建てたお客様のリフォーム適齢期が来るのは
早くても15〜20年後ですから、我慢の時期が必要です。
そこで、リフォームを本格化するのであれば
狙わなくてはいけないのが、一般のリフォーム新規客です。
一般リフォーム客の場合は、住んでいる住居に
不具合や劣化を感じた際、まずはインターネットで
「リフォーム+地域」などのキーワードで検索するか、
チラシや実店舗から情報が届く業者の中から選ぶというのが
自然な流れです。
その際に、リフォーム内容が簡単で、こだわりが
特に強くない場合は価格が業者選択の判断基準となります。
そのため、価格訴求型のチラシを大量投入している業者や、
ポータルサイトのレスポンスの早い業者が選ばれることが多くなり、
リフォーム専業業者が強い領域と言えます。
一般リフォーム客でも、改装を伴う大型リフォームの場合は、
新築を手掛けている業者ならではの施工力やプラン提案力が活きてきます。
つまり、一般リフォーム客の大型リフォームが、
工務店・ビルダーが最も狙うべきリフォーム領域と言えます。
以下に、大型リフォームを狙って行く上での
テーマ・トレンドを紹介して行きます。
■ トレンド1:古民家再生
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古民家再生は大型リフォームの代表と言えます。
基本的に全面改装する必要があるので、工事単価は3000万円を
超えることも多いですが、土地を持っている地主や、
その地主と子世帯の二世帯同居のケースが多く、
リフォーム予算の多い優良顧客が多いです。
同程度の築年数の古民家が建っているエリアは集中しているため、
ポスティング等で見学会への集客がしやすく、
1軒を再生すると近隣からも引き合いが発生しやすい
というメリットがあります。
愛知の新和建設は古民家再生だけで年間12億円を売り上げています。
古民家再生を行う場合は、1つの現場で解体、基礎、構造の補強、
内装の造作、完成の5回は見学会を行います。
この行程一つ一つを公開するのは、同程度の築年数の古民家に住む
近隣住民からの興味を引きやすいです。
現場調査には営業、設計、工事監督、外部の耐震診断士などが参加し、
床下から天井裏まで、劣化状況を一つ一つ確認します。
古民家の場合、築年数が60年以上、中には100年近い物件もあるため、
調査には少なくても丸1日かかり、
診断内容を分厚い資料にまとめて提出します。
この資料の信頼性の高さが受注に繋がっています。
施工力に自信のある工務店の場合、
古民家再生は狙いたいリフォームの一つです。
■ トレンド2:DIY
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中古住宅を購入して、全面改装して住む一次取得客の場合、
リフォームにかけられる予算は限られます。
最近の家づくりのトレンドであるDIYを提案に入れることで、
見積もりの総額を抑えることができ、少し変わった提案として
興味を引くことができます。
内壁の珪藻土塗りや、造作収納など、
一部を施主自身のDIYで仕上げることを提案することで、
引き渡した後もDIY部材の販売等で関係を維持することができます。
■ トレンド3:不動産業者との連携
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今後、リフォーム事業を行う上で必須になってくるのが、
不動産業者との連携です。
新築ではなく、立地や価格の条件の良い中古住宅を購入して
リフォームして住むという需要は今後増えてくるでしょう。
その際に、中古住宅の流通を扱う地元の不動産業者とは
連携しておくべきです。
不動産のFCに加盟して、自社で不動産流通に参入し、
中古住宅の情報を得るのも一つの方法です。
いずれにせよ、リフォーム事業を本格化するのは
一朝一夕では難しいです。
ただし、今後の住宅業界で生き残って行く上では
本格参入したい事業の一つですので、
慎重に且つ思い切って取り組んでみたいものです。
(情報提供:住宅産業研究所)