ビルダー・工務店がリフォームを本格化するには?(前編)業界ニュース,市場動向,ハウスメーカー,リフォーム・リノベーション
住宅業界の中で、リフォーム市場への注目度は年々高まっています。これからは工務店も新築だけでなくリフォームもやったほうがいいという話を耳にすることが増えました。
実際に、本格的にリフォーム事業を始めようと考えている工務店・ビルダーは多いのではないでしょうか。
■ なぜこれからはリフォームなのか?
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まず、日本の人口は減少局面に向かい、
市場が飽和して住宅が余ることが予測されています。
今後、新築住宅の市場が縮小し住宅会社の売上が落ち込むであれば、
それを補うための事業との一つして、
リフォームが有望であるということです。
また、国策としても、スクラップ&ビルド型の住宅産業ではなく、
ストックを活用することが推進されています。
既存住宅の省エネ化・耐震化を進めて空き家を流通させるためには、
リフォームは重要なポジションにあります。
このような動きに伴って、リフォームに関する様々な支援策も
増えてきています。
今年は以前のエコポイント制度が省エネ住宅ポイント制度に
マイナーチェンジして復活しています。
各自治体の補助金や銀行のリフォームローン優遇も充実しています。
今年3月末には国交省から
「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」の最終報告書がまとめられ、
適正査定によって中古住宅の価値を高めようという方針が
打ち出されました。
そして、住宅購入を考えるユーザー側も、新築にこだわらず、
中古住宅を購入してリフォームして住むという選択肢が、
以前よりも一般的になってきています。
■ リフォームがうまくいかない理由とは
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しかしながら、新たにリフォーム事業を立ち上げても、
新築に次ぐ第二の柱と言えるほどに収益を上げている
工務店・ビルダーはまだ僅かです。
一方、同じく新築を主力とする住宅会社でも、
大手ハウスメーカーはリフォーム事業を確立し、
リフォーム市場全体の中でも高シェアを占めるようになっています。
なぜハウスメーカーは成功して、工務店・ビルダーは
なかなか成功できないのか、両者を比較してみます。
一番の違いは、社歴と自社で過去に新築を建てたストックの数です。
ハウスメーカーは年間何千、何万という新築住宅を
建てているわけですから、大手メーカーはどこも
数十万戸のストックを抱えています。
リフォームの適齢期である築15年から20年ぐらいのストックだけを
取り出しても各社何万件というOB客がリフォームの
潜在需要客ということになります。
一方、工務店・ビルダーは、まずは自社のOB客からリフォームを…
と考えても、リフォーム適齢期のストックが少ないです。
また、リフォームに割ける人員の数も違います。
ハウスメーカーはリフォーム立ち上げ当初は新築部門から
リフォームに人員をシフトし、その後はリフォーム部門単独でも
採用して、人員を増やしています。
大量のストックに大量の人員をかけるわけですから、
それなりにリフォーム需要を拾うことができ、
売上を上げることができます。
工務店・ビルダーはなかなかリフォームにまで人員を回せず、
新築のアフター担当が兼任しているというケースが少なくありません。
本気でリフォームを狙うのであれば、
リフォーム単体の事業部や別会社を設けて、
独立採算制で利益を得られるようにする覚悟が必要です。
そして、ハウスメーカーで家を建てたお客様は、
そもそも家に不具合があっても
半永久的に面倒を見てもらえるだろうという安心感も込みで、
ハウスメーカーで建てたケースが多いと思われます。
リフォームを考えたときには
第一に相談してもらえる前提となっています。
工務店・ビルダーの場合は、建てた後に定期訪問やアフターを
よほどしっかりしていないと、
一番にリフォームを相談してもらえる存在にはなりにくいです。
結果として、リフォーム専業会社やホームセンター、
家電量販店などの他社が、工務店やビルダーで建てたお客様の
リフォーム需要を奪っています。
そのため、せっかくリフォーム事業を始めても、
アフターから発生する小規模な修繕工事ばかりに手を取られ、
苦労の割に単価が低いためなかなか利益が出せず、
リフォーム事業に消極的になってしまう傾向があります。
では、工務店・ビルダーがリフォームを本気で事業化するには、
どのような取組をすれば良いでしょうか。
次回は、その考え方を説明します。
(情報提供:住宅産業研究所)