住宅市場動向調査からユーザーの実態を知る(前編)業界ニュース,市場動向,リフォーム・リノベーション
国土交通省は、3月26日に平成26年度「住宅市場動向調査」の結果を発表しました。
住宅市場動向調査とは、住み替え・建て替え前後の住宅や、その住宅に居住する世帯の状況、住宅取得に係る資金調達状況などを調査し、今後の住宅政策の企画立案を行うためのものです。
調査は平成13年度より毎年行われており、今回の調査で14回目となります。
注文住宅や分譲住宅など住宅の種類ごとに調査を行い、集計しているため、住宅の種類ごとの居住者の傾向や、行動・考え方などを知ることができ、自社のターゲットを分析するのにも役立ちます。
今回は、国土交通省の住宅市場動向調査の結果と、そこから見えるユーザー像についてご紹介します。
■ 情報収集は「展示場・不動産業者・ネット」で
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まずは、平成26年度に住宅を取得し、
調査対象となった世帯の状況について見て行きます。
住宅の種類ごとに世帯主の平均年齢を見て行くと、
以下のようになっています。
【平成26年度】 【平成25年度】
・注文住宅(新築) 41.6歳 41.6歳
・注文住宅(建て替え) 60.0歳 59.8歳
・分譲戸建住宅 39.4歳 39.3歳
・分譲マンション 43.3歳 41.6歳
・中古戸建住宅 43.0歳 42.9歳
・中古マンション 44.1歳 45.1歳
・民間賃貸住宅 38.1歳 36.7歳
・リフォーム 56.2歳 56.5歳
これによると、注文住宅(新築)と分譲戸建住宅の場合は、
40歳前後で取得するといった人が平均的であると言えます。
注文住宅でも建て替えの場合は、
60歳と平均年齢が最も高くなっています。
前年度と比較すると、中古マンションの平均年齢が
1.0歳若くなっていることが分かります。
各年代の割合では、中古マンションは前年まで
40歳代の世帯主が最も多かったのに対して、
26年度は30歳代が最も多くなっています。
これは品質の良い中古マンションの流通が増え、
若年層にとっても中古マンションが住宅購入の選択肢として
一般化してきていることが影響していると考えられます。
住宅の種類ごとの平均世帯年収は以下の通り。
【平成26年度】 【平成25年度】
・注文住宅(全国) 625万円 616万円
・注文住宅(三大都市圏)664万円 655万円
・分譲戸建住宅 644万円 675万円
・分譲マンション 694万円 669万円
・中古戸建住宅 590万円 580万円
・中古マンション 644万円 613万円
・民間賃貸住宅 421万円 420万円
・リフォーム住宅 610万円 634万円
世帯年収が最も高かったのは、
分譲マンションを取得した世帯となっています。
各住宅の世帯年収は前年度より上昇している傾向にありますが、
分譲戸建住宅とリフォーム住宅の世帯年収は
前年度より低くなっています。
特に分譲戸建住宅は、
前年まで分譲マンションに次ぐ高い世帯年収でしたが、
26年度は中古マンションの世帯年収と同額となっています。
世帯年収だけで言えば、分譲戸建住宅と中古マンションの購入者層は
同等になってきていることが窺えます。
次に、ユーザーの行動について見て行きます。
ユーザーが施工者や物件に関する情報をどのように取得したか
という質問(複数回答)では、以下のような結果となりました
(住宅の種類別の最多回答項目)
【平成26年度】 【平成25年度】
注文住宅 住宅展示場(49.2%) 住宅展示場(48.4%)
分譲戸建住宅 不動産業者(38.2%) 不動産業者(40.7%)
分譲マンション インターネット(35.8%) 新聞等の折込広告(38.0%)
中古住宅(戸建) 不動産業者(49.0%) 不動産業者(56.0%)
中古住宅(マンション) 不動産業者(52.4%) 不動産業者(59.1%)
民間賃貸住宅 不動産業者(52.4%) 不動産業者(59.4%)
リフォーム 以前から付き合いのあった業者(36.4%) 知人等の紹介(33.9%)
注文住宅を検討している人は、まずは住宅展示場に行って情報を集め、
分譲マンションを検討している人はインターネットから
情報を得ているということが分かります。
それ以外の場合は不動産業者を訪ね、
そこで情報を取得するといった人が多いようです。
注文住宅を扱っている会社の場合は、
住宅展示場での対応やお客様が知りたいと思っている情報を
確実に伝えることが効果的だと言えます。
また、分譲マンション業者は、前年度までの新聞等の折込広告から、
インターネット経由のお客様が増えていることから、
自社のホームページや、自社物件を掲載している
ポータルサイトなどの見映えを良くしたり、
物件ごとの情報量を増やすといった対策が重要になります。
分譲戸建住宅や中古住宅を不動産業者経由で販売している会社は、
不動産業者に物件の特長から訴求の仕方までを伝えておくと、
よりお客様に伝わりやすくなるでしょう。
リフォームを受注するためには、日頃の付き合いが大事になるので、
定期点検やメンテナンス、イベントなどで、
お客様との関係性を築いておくことが重要になってきます。
次回は、ユーザーの住宅選択のポイントと、
設備についての傾向をご紹介します。
(情報提供:住宅産業研究所)