住宅販売促進制度を正しく理解し、フル活用する(後編)営業・接客,資金計画
先週に引き続き、昨年末から相次いで明らかになった、住宅販売促進制度について改めておさらいしていきましょう。
すでにご存じの読者も多いと思いますが、すべての営業担当者が正しく理解することが必要です。
<税制改正による恩恵>
「贈与税非課税枠の拡充」
「相続税の小規模宅地特例の拡充」
■ 住宅取得資金に関する贈与税非課税枠の延長・拡充
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親から子への資金援助など、住宅取得のための
贈与に関しては、これまでも非課税枠
(2014年は最大1,000万円)が設けられていました。
2014年末までとされていたこの制度ですが、
延長・拡充が決まっています。
2015年1月から12月までの非課税枠は最大1,500万円です。
2016年1月から9月は最大1,200万円、
2016年10月から2017年9月までは最大3,000万円となる予定です。
消費増税が2017年4月に行われた場合、2016年9月が
8%特例の期限となるため、それ以前の過剰な駆け込みを抑制し、
10%後の契約を促すのが狙いです。
今の国会での成立が前提ですが、
成立した場合には1月1日にさかのぼって適用されます。
■ 相続税の小規模宅地特例の拡充
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相続税に関しては、基礎控除額の引き下げや税率引き上げが
行われる一方で、小規模宅地の優遇は拡大し、居住用宅地の
減額対象面積の拡大(240m2⇒330m2)や、居住用宅地と
事業用宅地を併用する場合の上限拡大(400m2⇒730m2)、
二世帯住宅への適用範囲拡大が実施されています。
こちらの税制改正は以前より明らかになっていたこともあり、
相続税改正の影響が大きい賃貸住宅・賃貸併用住宅・二世帯住宅は、
戸建住宅に比べて反動減の影響が小さく、活況を呈しています。
従来は富裕層の動きが活発でしたが、
最近になって一般層にも動きが拡大しており、
しばらくは好調が続きそうです。
■ 知っているだけではダメ!大切なのは「お客様へ伝えること」
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これまで挙げた制度に加え、「すまい給付金」
「住宅ローン減税」も引き続き実施されています。
これに、地価の上昇傾向や、史上最低水準の
住宅ローン金利も併せると、2015年は住宅の買い時である
ということを、見込み客へ大きくアピールすることが可能です。
重要なのは、営業担当者がこれらの制度を知っているだけでなく、
見込み客へ積極的に伝えることです。
インターネットなどの普及により、自分自身で積極的に情報収集し、
各種制度を熟知しているお客様も存在しますが、
そもそも制度自体を知らない、または制度の名前は知っていても
詳しい内容は知らないというお客様の方が多いようです。
住宅市場の活性化のために設けられた各種制度も、
そもそもお客様が知らなかったり、営業担当者が
お客様へ伝えていなければ、意味がありません。
来場客へ伝えることはもちろん、過去に来場したまま
動きの無いお客様に対しても、これらの新制度を伝え、
買い時感を盛り上げることが求められます。
見込み客対象の「家づくりセミナー」「マネーセミナー」を開催し、
新制度を解説することで、商談のきっかけにする方法も有効でしょう。
見込み客へ分かりやすく説明するためのツール
(パンフレットなど)を作成しておく必要もあります。
一部のメーカー・ビルダーでは、すでに営業ツールを作成したり、
ホームページ内に解説ページを設けているところもあるようです。
また、見込み客へ説明する際に気を付けておきたいのが、
「それぞれの制度には期限がある」と伝えることです。
例えば、省エネ住宅ポイント制度は2016年3月31日までの
着工が条件で、早期終了する可能性もあります。
フラット35Sの優遇金利もおおむね1年程度の予定で、
かつ早期終了の可能性もあります。
過去には、実際に早期終了した例もあります。
つまり、これら優遇制度の多くは
「いま建てると得られるメリット」なのです。
「このような制度があります」だけではなく「いつまでが期限です」
と見込み客へ伝え、いま契約する動機づけを行うことが、
真の意味での”住宅支援政策の活用”と言えるでしょう。
(情報提供:住宅産業研究所)