2015年の住宅市場展望(後編)【2015年1月12日】
2015.1.12
○●○●○●○ 工務店MBA 最新業界ニュース ●○●○●○● 「2015年の住宅市場展望」(後編) 前回は、2015年の住宅市場について消費増税延期の影響や、 公的な住宅支援策を中心に大まかな展望をお話ししました。 では、住宅各社は、2015年にどのような動きを見せるでしょうか。 ■ 大手メーカーの異業種コラボ、多角化推進 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大手ハウスメーカーに関しては、 付加価値訴求によって景気の動向に大きく 左右されない高級客対策を強化すると見られます。 また、大手ハウスメーカーの売上構造を見ると、 主力事業である新築戸建以外の事業でしっかりと 利益を出しているところが多いです。 商業施設や事業施設に強い大和ハウスでは、 昨年10月にユニクロとの提携を発表しました。 物流施設を運営する新会社を共同で設立し、 まずは東京都内で新しい大型の物流拠点を新設して、 今後展開して行く物流センターの建設に 大和ハウスのノウハウを活かす方針です。 積水ハウスでは、昨年12月に積水ハウスリート 投資法人が上場し、今後3年で2000億円規模の 商業用不動産をREITに売却する計画です。 開発案件は国内だけでなく、アメリカや オーストラリアなどの海外でも多く手掛けています。 住友林業や積水化学でも、 海外の住宅供給を強化して行く方向です。 このように海外事業の推進や、介護関連や エネルギー事業など異業種を開拓し拡大することで、 新築戸建事業への依存度を低くして、 厳しい市場に対応して行くと見られます。 ■ ビルダーの業界再編進む ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ビルダーの大手では、M&Aや経営統合によって 規模拡大を図る動きが目立ってきています。 最近の動きで最も規模が大きかったのが、 2013年11月の飯田グループ6社の経営統合です。 飯田グループでは、昨年4月の消費増税後、 回転率が低下し完成在庫が貯まって、 値引き販売を余儀なくされました。 これにより利益率は低下していますが、 経営統合による部材の共通化などでコストを削減し、 利益の改善を図る計画です。 注文住宅や海外進出などの新規事業も積極拡大する方向です。 昨年11月には東京都心部の建売分譲最大手の オープンハウスが、東京都下で注文住宅を主力とする アサカワホームの株式を取得して子会社化しました。 東京23区内や横浜、川崎の都市部に限定して 建売分譲やマンションを供給するオープンハウスに対し、 アサカワホームは注文住宅の他、不動産業者からの 建築請負が多く、施工品質には定評があります。 この2社のグループ化は、各自の得意分野を活かし、 不得意分野を補い合う、バランスの良いマッチングと言えます。 桧家住宅グループは、住宅部門では 神奈川の三栄ハウスや新潟の北都ハウス工業を M&Aで子会社化して規模を拡大してきました。 住宅以外では、断熱材事業や介護・保育事業などの 異業種の会社もM&Aで取得して、事業の多角化を進めています。 ますます事業規模を拡大する大手に対抗するためには、 中小ビルダーや工務店は横のつながりを強めて、 商品アピールや集客で協力し合うような体制を 整えておくべきかもしれません。 ■ 今後の住宅トレンド ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2015年以降の住宅のトレンドとしては、 ゼロエネ化、住宅のコンパクト化、在宅介護などの 様々なキーワードが挙げられます。 リクルートでは毎年12月に、様々な業界の 翌年のトレンドキーワードを発表しています。 2015年の住宅業界のキーワードとして 発表された言葉は「リノベパーティ」です。 プロの提案を主導とする従来のリノベーションは、 施工後のデザインや機能の向上が重視されます。 これに対し、できることは自分たちで行い、 リノベ作業を友達とパーティ感覚で行って プロセスを楽しむという、住まい手主導の DIY型リノベを表すのが、「リノベパーティ」です。 若年層を中心に、Facebookなどで情報を発信して 仲間を集め、おしゃれで楽しくリノベを行うことが、 新たなトレンドになると予測しています。 「リノベパーティ」の潮流は、現在は 賃貸住宅を中心に広がっているようです。 今後はDIYに対する抵抗感が薄れ、かっこいいものとして 今以上に認識される可能性も十分にあります。 そうなれば、新築住宅の購入や、中古を購入して リノベを実施する際にも、内装や造作収納などの一部を DIYで仕上げるというニーズが増えてくるかもしれません。 (情報提供:住宅産業研究所)