2015年の住宅市場展望(前編)【2015年1月5日】
2015.1.5
○●○●○●○ 工務店MBA 最新業界ニュース ●○●○●○● 「2015年の住宅市場展望」(前編) 2015年が始まりました。 これから1年、住宅市場は どのような動きを見せるでしょうか。 ■ 反動減に苦しんだ2014年 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ まずは2014年を振り返ってみましょう。 2014年は、その前年の5%→8%の消費増税による 駆け込み需要からの反動減で、受注に苦しんだ 住宅会社は多いのではないでしょうか。 春先から客足が途絶え、展示場に例年並みの集客が 戻り始めたのは夏以降という話をよく聞きました。 ハウスメーカー大手10社の月別受注棟数の推移を見ると、 2013年10月以降は11ヶ月連続で前年同月比 20%前後のマイナスが続いていました。 14年10月からは、やっと月間受注が前年同月を上回りましたが、 前年10〜11月の低いハードルをクリアしたに過ぎず、 本格的な受注回復とは言えない状況です。 ちょうどその頃からは九州電力をはじめとする電力各社から、 再生エネルギーの買取制限の話が出始め、太陽光発電の 全量買取を絡めた商品訴求がしにくくなり、上向き基調に ブレーキが踏まれた形となりました。 また、反動減対策として、住宅ローンの減税や すまい給付金制度が実施されましたが、 すまい給付金の給付実績は、9月までの時点で 予算の約1%しか使われず、不発に終わったと言えます。 総じて2014年の住宅市場は厳しかったと言わざるを得ません。 ■ 消費税10%先延ばしの影響は? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ それでは、2015年の住宅市場はどうなるでしょうか。 最大のトピックは、消費増税の先送りです。 当初は2015年10月に実施される予定だった 10%への消費増税は、衆議院の解散を経て、 2017年4月に1年半先送りされることとなりました。 そもそも、つい2ヶ月ほど前までは、5年10月に 消費税が10%に上がることを想定していました。 当初の予定からすると、15年1〜3月には 10%増税前の駆け込み需要が発生し、 受注が盛り上がると見られていました。 ところがこの駆け込み需要が見込めなくなったことで、 14年度下期(14年10月〜15年3月)の受注計画を 軌道修正する必要が出てきました。 出店計画や土地の仕入れ等、増税に向けての準備を 進めていた住宅会社もあるでしょう。 増税先送りによるデメリットはすでに発生しています。 一方で、増税の先送りはプラスと捉えることもできます。 予定通りの増税の場合、1〜3月の駆け込みと、 4月以降の反動減が生まれ、受注・着工に 大きな波が生まれることが想定されました。 ところが先送りとなったことで、年間を通した 受注の波の浮き沈みは緩やかになると思われます。 各月の受注を前年同月と比較する際に、 しばらくは前年を上回る受注ペースで 推移することが期待できます。 前年超えのハードルは低く、気分的には プレッシャー少なく今期の営業に臨めるということです。 また、増税まで1年半の猶予ができました。 消費税が10%に上がれば、住宅業界は 様変わりすると思われますが、その転換期に向けての 準備期間が与えられたということです。 経営スタイルを利益体質に移行したり、 人員の確保や育成を図ったり、新規事業の立ち上げなど、 市場への対策を具体化する猶予ができたことで、 10%増税に向けて体制を整えておくことができます。 そう考えると、増税の先送りにもメリットはあると言えます。 消費増税以外では、市況や政策は今年どのように動くでしょうか。 一般消費者の消費マインドが上向かないことには、 住宅の取得にも動けません。 景気の動向はなかなか読めませんが、 安倍政権のアベノミクスが機能すれば、 景気は横ばいから上昇基調で推移することも期待できます。 住宅取得の支援策としては、住宅版エコポイントの再開、 フラット35Sの金利引き下げ幅拡大などが検討されています。 消費増税の先送りで時間的な余裕ができたことで、 消費税の住宅への軽減税率の適用も議論が進む可能性があります。 また、2015年1月からは相続税が変わり、 土地が高い都心部を中心に課税対象となる人が増えます。 一方で、「小規模宅地等の特例」として、 条件を満たせば評価額を下げることができます。 昨年からは、玄関を別々とする二世帯住宅でも 減税特例の対象となるため、二世帯住宅の提案強化は 進めておくべきかもしれません。 消費マインドはなかなか上がらず、 消費増税の先送りによって、「今が買い時」 という理由付けはできなくなりました。 ただし、住宅ローン金利が過去最低レベルで 推移していることから、「今が借り時」であることは 間違いないですから、住宅取得を具体的に考えている お客様に対しては、ファイナンシャルプランや資金計画で メリットをしっかり伝えたいです。 (情報提供:住宅産業研究所)