2020年の住まいと暮らし(後編)【2014年11月17日】
2014.11.17
○●○●○●○ 工務店MBA 最新業界ニュース ●○●○●○● 「2020年の住まいと暮らし」(後編) ■ 戸建〜中古の資産価値向上、地盤の良し悪しが住宅の価値に大きな影響 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戸建住宅の傾向としては、 中古物件の資産価値が向上します。 現在は築後20年で建物部分の評価額は ほぼゼロになりますが、政府は今年3月に 「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定。 良質な維持管理やリフォームが行われている住宅を、 今後適切に評価していくとの方針を示しました。 今年7月に公募を開始した中古住宅の長期優良住宅化を 推進する「長期優良化リフォーム推進事業」をはじめ、 中古住宅を取得した際の改修費補助やローンの低利融資も 検討されるなど、中古住宅への支援が手厚くなることは 間違いありません。 自社物件の売買仲介を行う優良ストック 住宅推進協議会に加盟する大手ハウスメーカー10社は、 今後3年間で中古住宅の査定士を10倍の 2万4000人に増やす見込みとしています。 2020年には住宅展示場で新築と中古の併売体制が 当たり前になっている可能性も決して低くありません。 また、2020年には地盤の良し悪しが より住宅の価値に影響するようになります。 政府は昨年12月に、強くしなやかな国民生活の実現を 図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法を施行。 大規模に盛土造成された宅地の場所を確認できる 「大規模盛土造成地マップ」の公表率は 2013年時点で4%のところを、2016年には 約50%まで引き上げるとしています。 また、内水ハザードマップの作成・公表も予定されるなど、 国民が地盤に対する正しい知識を得るという方向性で動いています。 これによって、利便性だけでなく地盤という要素が、 住宅の資産価値に大きく影響するようになります。 中古住宅ながら優れた地盤の物件に人気が集まりますし、 優れた地盤改良技術を行う企業が支持を集めたり、 地盤調査のセカンドオピニオンが行われたりと、 地盤に対する考え方が大きく変わります。 また、太陽光やエネファームなどの創エネ機器と、 蓄電池の導入率が上昇して、年間光熱費が ゼロになる住宅は大きく増加します。 現在太陽光は、膨れ上がった売電による送電網の 容量不足や買い取りのコスト負担増が深刻化しています。 今後売電は総量規制化が見込まれますが、総量規制が 実施されれば太陽光発電は一気に縮小することになります。 政府としてはこの縮小を防ぐために、 発電した電力を蓄電池で貯めて上手く使うという 方向性にシフトすると思われます。 具体的には蓄電池への補助金投入が再開され、 価格も大量導入によって下がっていくことが見込まれます。 ■ 分譲マンション〜中古リノベ拡大、共同住宅ならではの提案が増加 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2020年の東京五輪に向けて、首都圏を中心に 大量供給が予定されているのが分譲マンションです。 とはいえ、現状は生コンクリートなど建設資材の 高騰に加えて職人も不足しています。 建築コストの上昇に伴い販売価格を上げざるを得ない状況で、 新築の建て控えが顕著になっています。 そんな中で今注目を浴びているのが、 中古マンションのリノベーションです。 安価な中古のマンションを取得して、その後に内装や 間取りの変更、住宅設備の入れ替えなど大規模修繕を 行うことで、新築より安価で魅力的な住まいが 手に入るという仕組みです。 前回、消費者像についてご説明したとおり、 今後は共働き世帯が増え、夫婦どちらの通勤にも便利な 好立地へのニーズが高まります。 世帯の所得が大幅に増加することは 見込みにくいですが、好立地の物件でも中古ならば 買えるというケースは多いはずで、2020年に向けて 市場が拡大していくことは間違いありません。 共同住宅ならではのスケールメリットや、 サービス、共用部を活かした提案も増加していきます。 例えば電力会社に代わってマンション側が 変圧と電力供給を行うことで、各住戸が安価に 電気を使用することができる一括受電サービスは、 新築だけでなく中古への導入も始まっており、 今後多くの分譲マンションに採用されそうです。 カーシェアリングなど、サービスの費用を住民間で分担する シェア系サービスも、都市部を中心に増加の兆しがあります。 また広い共用部を活かして、防災用品や自家発電設備を 置くスペースとして防災備蓄倉庫を設置するなど、 分譲マンションならではのサービス・仕様の導入により、 戸建住宅や低層アパートと差別化を図る物件が増加します。 (情報提供:住宅産業研究所)