住まいのトレンド「ナチュラル」に迫る(後編)【2014年4月21日】
2014.4.21
○●○●○●○ 工務店MBA 最新業界ニュース ●○●○●○● 「住まいのトレンド「ナチュラル」に迫る」(後編) ■自然を活かすナチュラルな暮らし〜太陽、風、緑の活用が定番化 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回は「素材」としてのナチュラルに注目しましたが、 家づくりにおいては、「自然の力を活かす」という意味での ナチュラルも欠かせません。 自然の力とは太陽や風、樹木といったものを指します。 暑い夏にエアコンなど家電に頼るのではなく、 家の中に風の通り道を作ることで体感温度を下げたり、 樹木を配置することで陽射しを遮るといった パッシブエコの提案です。 太陽の光を活用する提案としては 下記のようなものがあります。 ・南面に大きな窓を配置したり、 天窓や高窓を設置することで光を取り入れる ・隣家と近い都市部では2階リビングや中庭から光を取り入れる ・深い軒や庇、オーバーハングにより、 夏の陽射しを遮り、冬の陽射しを取り入れる ・床材の下に蓄熱材を敷き、取り入れた陽射しの熱を蓄える ・取り入れた熱を逃がさない高気密高断熱の家 このように、陽射しを取り入れることで 電気がなくても明るく、暖房がなくても 暖かい暮らしを提案しています。 風の活用は、家の中を遮らず 空気の流れを作ることがポイントです。 具体的には下記のようなものがあります。 ・大きな窓による風の取り入れ ・ドアを閉めたままでも室内に風を通せる 欄間付き建具や、格子状の間仕切り ・風の入り口を低く、出口を高くすることで空気の滞留を防ぐ ・天井付近に溜まった熱い空気を排出する天窓や高窓 ・地窓の設置による温度差換気 ・家の空気を循環させるシーリングファン 最後に緑の活用は、適切な位置に適切な植物を 配置することで、光や風の活用を助けるというものです。 具体的には下記のようなものがあります。 ・南側には落葉樹を配置して、夏は陽射しや暑い空気を遮り 冬は陽射しを取入れる ・北側は常緑樹を配置して、夏は冷気を滞留、冬は北風を防ぐ ・芝生により地面の表面温度上昇を抑える ・ゴーヤーやヘチマなど緑のカーテンによる外部気温の低下 これらの取り組みが定番化しているのはハウスメーカーや 大手ビルダーなど一部の住宅会社に留まりますが、 自然の力を活用したナチュラルな暮らしは家計にも優しく、 今後業界でも定番化していきそうです。 ■自分らしさのナチュラル〜自分らしく暮らせる住まい ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最後は飾り気がないという意味が転じた 「自分らしさ」のナチュラルです。 アメリカンエクスプレスが2010年に行った調査によれば、 若年層のおよそ3割が消費行動によって 「自分らしさが表現できること」を求めていると言います。 住宅においても、そこに住む家族が居心地よく 暮らせるように「自分らしく生きる」ことを テーマとした商品や提案が登場しています。 例えば三井ホームは、女性目線の動線や 間取りを取り入れた住宅商品「シュシュ」を提案しています。 女性にとっての「あったらいいな」を叶える家として、 ・玄関横のフィッティングルーム ・キッチン横に設置した居心地の良い ミセスのためのスペース「プチリュクス」 ・好きな洋服にアクセサリーを飾るように、 自分らしさを表現する外観デザイン 以上のように、女性が楽しく自分らしく暮らせる 仕組みを盛り込んでいます。 男性が家事育児に貢献することも珍しくなくなりましたが、 住まいの家事育児の中心にいるのは現在も女性です。 同商品では女性の家事が少しでも楽になるような動線や、 楽しく暮らせるデザイン、家事の合間に発生する時間を 大切にする空間提案などによって、女性が「自分らしさ」を 大事にできる暮らしを実現しています。 住宅設備でも自分らしさを表現するアイテムは登場しています。 大手住設メーカーのTOTOは今年3月に キッチンの定番シリーズ「クラッソ」を モデルチェンジしました。 モデルチェンジ後のポイントとなるのは、木目や布目、 モザイクタイルなどクラフト感のある柄をモチーフにした 自由度の高い扉デザインです。 同社がこれまで行った調査によれば、住宅に楽しみや 自己表現を求める層が増加しているといいます。 自由度の高い扉デザインをラインナップに加えることで、 キッチンでも自分らしさを表現したいと考えるユーザーに 対応した商品となっています。 (情報提供:住宅産業研究所)