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地震による被害を抑えるために「何ができるか」耐震・制震・免震関係

業界ニュース
2024.2.20

前回の配信では住宅の耐震に関する基礎知識をおさらいしました。
今回は地震による被害を抑えるために何ができるか、
何を行っていくべきなのかということを、
各社の取り組みを見ながら考えてみます。


新築はもちろん、耐震改修も進める必要アリ


耐震基準の改定等もあって、
新築住宅というのはある程度の耐震性が担保されるようになってきました。
ただ、過去に建てられた住宅はどうでしょう?
国土交通省によると、2018年時点での国内の戸建住宅の総戸数は約2,880万戸。
その内、約1,970万戸が1982年以降に建てられ
「新耐震基準」を満たすとしています。


残りのおよそ900万戸が1981年以前に建築されているということになりますが、
その900万戸の内、340万戸は耐震改修が施されており、
明らかに耐震性が不足しているのは560万戸としています。
2,880万戸のうち、耐震性不足の住宅は560万戸で、耐震化率は約81%。
その数値は一見低くないように見えますが、だからといって、
決して安心できるとは言えません。


その理由としてはまず、
1982年以降に建てられた「新耐震基準」を満たす1,970万戸の中には、
現行の基準である「2000年基準」を満たしていないものが
含まれていることが挙げられます。


日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が2021年に発表したデータによると、
1981~2000年までの間に建てられた建物の内の8割超が、
全体の9割超が現行の耐震基準を満たしていないといいます。


安心できないもう1つの理由として、
熊本地震では現行の「2000年基準」を満たしている建物でさえ、
大きな被害を受けたことがあります。
特に耐震等級2の認定を受けた住宅も崩壊したことは話題となりました。
これらのことから、自然災害の頻度や苛烈さが増す現状に対して、
十分な耐震性を持った住宅は多くないと言えます。


既存住宅の耐震等級3確保や、
更なる補強というのは住宅業界における急務となっています。
耐震改修に力を入れている大手メーカーは多く、
例えば住友不動産の新築そっくりさんは、
無料で建物と耐震の診断を行っています。


他にも、住友林業ホームテックは、
耐震リフォーム向けにオリジナル面材耐力壁を使用した工法を採用しており、
耐震性と施工性を確保しています。
自治体によっては耐震改修に補助金を出しているところもあり、
そういった制度を活用すれば、耐震改修は訴求しやすいでしょう。
耐震の確保というのは家づくりに関わるものの使命の1つだと捉え、
積極的に推進していくようにしましょう。


ソフトも活用して被害を抑える


住宅自体を地震に強くするという取り組みに加え、
近年はソフトを活用して災害による被害を抑えようとする取り組みも見られます。
旭化成ホームズは、
防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS」の展開を2023年3月から開始しています。


同システムは、外部からの地震動情報と建物の構造データを掛け合わせて、
地震発生後10分~2時間程度で同社が供給した戸建住宅、賃貸住宅について
建物別に被害レベルや液状化発生状況を把握するもの。


被害状況や建物損傷度を正確に把握するため、
構造体損傷、外壁のひび割れ、内装材の損傷被害に応じた
独自の5つの損傷ランクを作成しており、
地震時の建物の瞬間的な最大傾きから被害状況を把握し、
それをランク分けすることにより、対応の優先順位付けを可能としています。
損傷ランクの大きい建物から対応することで、早期の災害対応に役立てます。


パナソニック ホームズは地震被災リスク推定システム
「P-HERES」の運用を2023年9月から開始しています。
このシステムは、
国立研究開発法人 防災科学技術研究所が地震発生後に公開する
強震観測網の強震記録を基に、震災地域における建物被害レベルを判定した後、
同社の顧客データベースと連携して、
その結果を災害復旧支援部門の画面上に表示するというもので、
オーナー宅の建物被害の重度に応じた迅速な復旧対応を可能とします。

これらのような大規模なシステムの開発というのは、
なかなか難しい部分もありますが、
既存のツールを活用して、
防災時のネットワークとしているような会社も見られます。


徳島県のアール・エスホームは
LINEを非常時の連絡網として使用できるようにしています。
同社は東日本大震災をきっかけにオーナーへの災害対策用品の支給を開始。
現在は災害対策用LINEに登録してくれたユーザーに
15,000円分の災害対策用品を送るようにしています。


この取り組みもあってオーナーのLINEの登録割合は8割以上と高いようで、
非常時の連絡用だけでなく、
アフター用の連絡網としても機能しているといいます。


テクノロジーが発達した今、
安心を確保するために利用できるシステムも増えてきています。
少しでもオーナーが安全・安心でいられるよう、
建物以外のところでも工夫を凝らしていきましょう。


(情報提供:住宅産業研究)

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