「住宅会社の最新の暮らし方提案~ストレスフリーで働くために~」業界ニュース
ミレニアル世代が一次取得者層として台頭したことで
すっかり定着した「暮らし方提案」。
モノ訴求ではなくコト訴求を行うことは
住宅会社の中でも定番となってきました。
今回と次回の配信ではこれまでの住宅会社の
「暮らし方提案」を追っていきます。
ON/OFFの切替えに配慮した在宅ワーク提案
コロナ禍の影響で在宅ワークという働き方も世間に浸透してきました。
在宅ワークは通勤のストレスが低減されるなどのメリットがある一方、
職と住の混在によりON/OFFの切り替えが上手くできないなどの
新たな問題を発生させたほか、
自宅で仕事に集中できる空間が欲しいという新たなニーズを産み出しました。
京都の建築設計事務所ゆずデザインは、2022年7月にコンセプトハウス
「パーソナルスタジオ+イエ(パーソナルティーハウス)」を発表しています。
公開されたモデルハウスは「個」をコンセプトとした、
間口3m、奥行き9m、2階建て延床面積15坪のミニマルなデザイン。
1階には4.5帖ほどのプライベートサロンが確保されています。
そのスペースはガラス仕切りで圧迫感がなく、
リモートワークやアトリエとして使用できるとしています。
また、空間を仕切る必要がない時は仕切りをオープンにして、
1階をより広く使うことが可能です。
職と住の境界があいまいとなっている中、仕事や趣味にも打ち込みながら、
家での暮らしも楽しむというライフスタイルを提案しています。
ミサワホームは、4年半ぶりの企画商品として2023年4月に
「SMART STYLE Roomie(スマートスタイル ルーミエ)」を発売しました。
同商品のコンセプトの1つに「マルチワークスタイル」があり、
以下の3つのワークスペースの提案を行っています。
・ダイニング近くの家事動線上に設けた、
家族が交流しやすい「スイッチワーク」
・防音性能を高めWEB会議などにも集中できる「フォーカスワーク」
・アウトドアリビングやゆとりのあるルーフバルコニーなど、
リフレッシュして発想を転換する「リチャージワーク」
自宅の中でも複数の場所を使い分け、
適度に気分転換しながら在宅ワークを行うという提案は、
在宅勤務のストレスを軽減するための1つの手法となっています。
以上で紹介した2商品に共通するポイントが、
空間の使い分けによるON/OFFの切り替えと言えます。
ここで紹介した手法以外にも、ヌックやステップダウンフロア、
あえて天井を低くするなど、「籠り感」を演出できる空間と、
開放感のある空間を使い分けることで、
良質な在宅ワーク環境をつくりだしている提案が散見されます。
庭や外との繋がりでリフレッシュ!
コロナ禍のおうち時間増加により閉塞感を覚える人は増え、
自宅でのリフレッシュが改めて注目されるようになりました。
「ベランピング」などといったワードが流行し始めたのもコロナ禍以降です。
そのことに着目し、
多くの住宅会社が自宅をより開放的な空間とするための提案を行っています。
三重県に本部を置くino-Brandは、
「GLAMP(グランプ)」というコンセプト住宅シリーズで
「新しい庭」を有する家を提案しており、
2022年10月には新シリーズ
「GLAMP COVERED(グランプ カバード)」を発売しました。
同商品は屋根のあるインナーバルコニー付きで、
屋外でも天候の影響を受けにくく、幅広い用途で利用できるのが特長です。
室内外がフラットにつながり、洗濯物や布団を干すだけでなく、
家族との食事やティータイム、アウトドアリビングとしても
活用できる空間となっています。
その他、ウェルビーイングのために中庭などの中間領域を設けた提案や、
広いウッドデッキにより庭との繋がりを強調するような提案も見られます。
平屋ブームの背景の1つにも
外との繋がりが感じられやすいということがあります。
「アーシング」という行為が話題になっているのはご存知でしょうか?
アーシングとは身体と大地が直接繋がることを指します。
つまり、砂浜や公園で裸足になったり、
森の中で木や地面に触れたりすることです。
実際の効果は定かではありませんが、有名人をはじめとし、
流行の兆しを見せています。
空前のアウトドアブームからも、
自然というものが現代人の心身のリフレッシュにおける
鍵になっていると考えられます。
コロナ以降の閉塞感だけではなく、
身の回りの様々なもののテクノロジー化によって、
人々は自然との繋がりを改めて求めているのかもしれません。
こうしたことも、今後の住宅提案のテーマとなり得るでしょう。
(情報提供:住宅産業研)