「新築高騰の裏で中古住宅需要高まる?」商品・トレンド
中古再販最大手のカチタス、「物置化」する空き家も再生
新築住宅の価格が資材価格高騰などを背景に上昇する中、
中古住宅の購入を検討するエンドユーザーも増えています。
この需要を捕捉するのが中古再販業者で、
その筆頭がカチタスグループです。
同社は年間の再販件数6,000戸に上り、
この業界では圧倒的マーケットリーダーと言えます。
グループのリプライスも業績を伸ばしています。
カチタスは2022年度も堅調に推移しています。
第3四半期 の業績においては、
販売件数が前年同期比9.3%増の5,080件でした。
さらに販売単価の上昇もあり、
売上高ベースでは16.4%増と前年業績を上回っています。
売上高・利益などはいずれも年間計画の4分の3を上回る進捗率で
推移しており、計画達成への見通しも良好とのことです。
コロナ禍においても需給バランスを見ながら
市場をうまくコントロールして来たと言えそうです。
そもそも同社のビジネスモデルは
なかなか追随する業者が出て来ません。
買取物件の81.8%が空き家ということもあり、
社会貢献度の高いビジネスモデルとも言えます。
同社の展開エリアは人口5~30万人の地方都市で、
これまで買い取った既存住宅の累計は6万件強。
空き家バンクを展開する自治体からの注目度も高く、
2022年には鹿児島県日置市と
「空き家バンク制度推進に関わる連携協定」を締結しました。
カチタスでは独自に空き家の実態調査も行っています。
空き家の8割は一戸建て、
また自身の居住県外で空き家を持つ世帯は2割を超えています。
空き家の取得経緯は相続が59%、
県外に空き家を持つ世帯では68%が相続で取得しています。
2024年4月には相続登記が義務化されることで、
空き家対策はより喫緊の課題となります。
相続に関わる空き家の相談案件が今後増えるものと見られ、
中古戸建の再生ビジネスの需要は更に増加していくはずです。
新築事業のノウハウ、中古再販に活きる
新築メインだった住宅会社も戸建買取再販に乗り出し始めました。
その筆頭は大手ハウスメーカーです。
パナソニックホームズグループでは、
買取再販事業の専任部署「住宅流通推進センター」を
パナソニックホームズ不動産内に設置。
オーナーの売却希望を把握し、
最終的に優良ストックとして流通させる目的があります。
また大和ハウスグループでは、
リブネス事業部が「リブネスタウンプロジェクト」として
団地再生を進めています。
その1つ、空き家が増えているという石川県の加賀松が丘団地では、
約10億円を投じて160区画を買い取り、
広場や住宅として街全体の再生を図っています。
近年は新築事業をメインとする地域ビルダーによる
中古再販事業への参入も相次いでいます。
その1社が栃木のトヨタウッドユーホームです。
新築重視で成長してきた同社が新しくスタートしたのは、
自社オーナーの住宅を買い取り、
ZEHレベルへの性能向上リフォームを実施してから
販売するブランド「再生ZEH」です。
築15~20年がターゲットで、
この2月には第1号物件の見学会が開催されました。
同社が建設してきた2×4住宅が持つ躯体の頑強さを活かして
開口部リフォームや断熱材の充填、
太陽光関連設備の搭載、エネファーム、
照明はLEDに変更して省エネ化を図っています。
先着3件限定でモニター募集も行う予定で、
今期はリフォーム補助金も後押しとなるはずです。
2022年12月末にはプロパティ・テクノロジーズ社が、
グループ会社を通じて戸建買取再販に
本格参入することを発表しました。
マンション買取再販のホームネット社を中核とし、
そのグループとして傘下の
秋田県のサンコーホームと山口県のファーストホームが、
2023年1月より中古住宅買取再販事業をスタートしました。
サンコーホームは創業80年以上、
ファーストホームは累計2,500棟の供給実績を持ち、
それぞれの地元でシェアを伸ばしてきたビルダーです。
この有力ビルダー2社の新築戸建施工のノウハウと、
ホームネットがマンションで培ってきた
中古住宅仕入・販売のノウハウを活かし、
中古住宅買取再販事業におけるシナジーを高めていく狙いがあります。
市場性として、秋田は全国的にも高齢化や人口減少が進む県であり、
山口は空き家率が全国9番目に高い
17.6%(2018年 住宅・土地統計調査)と、
それぞれ課題も抱えています。
両社が空き家などに困っている県民に対して、
どのようなソリューションを提供していけるのかが
今後の注目どころです。
(情報提供:住宅産業研究所)