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「ストック活用本格化迎える令和時代」市場動向

商品・トレンド
2022.8.1

昨今、脱炭素社会の実現に向けた
取り組みがあらゆる業界で進められています。

住宅業界においても、断熱性能の向上や、
木材の利活用、太陽光発電でエネルギーを作って
蓄電池に貯めて自給自足できる住宅など、
様々な形で脱炭素に貢献することができます。


ストック活用ということに関しては、
住宅や建物を壊して建て替えるよりも、
既存の建物を改修して利活用した方が、
CO2排出量が少ないということは
想像に難くありません。


建物改修による脱炭素効果を数値化


前述の通り、「新築よりもストックを改修する方が、
CO2排出量が少ない」ということは、
疑いのないところですが、
これまでこの脱炭素効果が
数値化されることはありませんでした。


そこで住友不動産では、
同社の「新築そっくりさん」の脱炭素効果に関して、
東京大学、武蔵野大学と共同研究を行い、
今年6月にその研究結果を発表しました。


この共同研究は、
既存戸建住宅の改修における
環境評価手法の確立を目的として、
2021年12月から2022年3月まで実施されました。


新築そっくりさんの実際の改修現場を研究対象とし、
建物性能(耐震性・断熱性など)を
大きく向上させる全面改修工事を施した住宅は、
同様の建物に建替えるより、
CO2排出量が47%削減されることが分かりました。


使える構造材はそのままで、
既存の基礎・躯体等を活用することで
資材投入量等が大幅に削減されたことが寄与しました。


解体も最小限に抑えることで、
CO2排出量は削減できます。


6月に発表した研究結果は
まだ第1フェーズの途中であり、
今後は1棟ごとに詳細な調査を行わずとも、
一定の精度でCO2排出量削減を定量化できる
評価システムを開発する計画です。


そして、同研究の第2フェーズとして、
既存住宅の改修による長寿命化の
効果についても検証を行い、
第3フェーズでは既存戸建住宅の改修による
省エネ・創エネ設備の導入効果を検証する予定です。


最終検証までは3年程時間を要するとのことですが、
リフォームの脱炭素貢献度の高さを証明できれば、
ストック市場拡大の大きな後押しになるはずです。


社宅や寮など法人不動産の利活用進む


非住宅分野においても、
ストックの利活用が進んでいます。


この潮流を捕捉している1社が
「リノベる」です。


エンドユーザー向けワンストップサービス
「リノベる。」を展開してきましたが、
近年はBtoBをメインとする法人所有不動産の
リノベーションも堅調に伸ばしています。


2022年3月期はこの売上高が前年比200%超と、
2倍以上に拡大したとのことです。


増収要因は、大手企業のCRE(企業不動産)案件が
増加したことが挙げられます。


例えば、
元々社員寮や研修施設として利用していた建物を、
エンドユーザーをターゲットとする
賃貸物件やシェアハウスに
コンバージョンするような
プロジェクトが増えているとのことです。


同社の都市創造事業部は
事業企画から基本設計、実施設計、施工まで
対応するほか、サブリースを含む
運営に携わるケースもあります。


企画段階からプロジェクトに参画することもあり、
企画提案する際にも
顧客ニーズを捉えた高い精度を
実現できるとのことです。


2021年度も話題性のあるプロジェクトを
複数手掛けましたが、その一つが川崎市高津区の
「BOIL」です。


1974年に建設されたNTT東日本の通信ビルを
コンバージョンするプロジェクトです。


川崎市の高津・溝の口エリアは、
ストリートカルチャーの一つである
ブレイクダンスの聖地と云われるなど、
新しい文化・価値が生まれてきた場所です。


BOILには溝の口初のブルワリーや
コーヒースタンドのほか、コワーキングスペース、
シェアキッチン、ダンススタジオなど、
地域住民が交流できるようなコンテンツを揃えました。


建物運営は、地元の溝の口に本社を構え、
不動産・建築事業を展開する
株式会社NENGOが担当しています。


BOILは、2021年の
リノベーション・オブ・ザイヤー無差別級部門で
最優秀賞を受賞するなど
業界からも注目を集めています。


コンバージョンを伴う場合は、
リノベるが独自で地域住民に求められている
建物用途を模索し、プロジェクト毎に発案しています。


その過程で重視することは、
事業主側だけでなく地域住民側の視点に立つことです。


地域住民に求められ、
まちの価値を高めるものを提案することで
持続的な経済合理性を実現します。


クライアントのCRE戦略への貢献を目標とし、
フレキシブルにデザインすることを
ポリシーとしています。

(情報提供:住宅産業研究所)

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