「進化する賃貸マンション事情」ハウスメーカー
マンション表記の基準が変わる
従来、大手不動産ポータルサイトにおいて、
木造の賃貸住宅はすべて
「アパート」と表記されてきました。
一般ユーザーの中には、
アパートはマンションと比べて
耐震性や耐久性、耐火性などの面で劣るといった
イメージを持つ人も少なくないと思います。
近年、大手ハウスメーカーを中心とした
技術革新による木造住宅の高品質化や、
国策として木造建築が推進されていることを受け、
木造の賃貸住宅の表記方法が変化しています。
2021年12月にスーモやライフルなどの
大手不動産ポータルサイトでは、
一定の基準をクリアした木造の賃貸住宅について、
従来の「アパート」ではなく「マンション」と
表記できるようにしています。
新しくマンションの対象となるのは、
新築か中古かは問わず、
木造や軽量鉄骨造であったとしても、
3階建て以上で、タウンハウスやテラスハウス
といった長屋式の物件を除いた集合住宅で、
建物の性能における基準を
クリアした物件であれば「マンション」と
表記することができるようになりました。
建物の性能で設けられた基準としては、
「住宅性能表示制度による住宅性能評価書」において、
下記の条件を満たしている必要があります。
【1】
「3-1.劣化対策等級(構造躯体等)」が等級3
【2】
「1-1.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」が等級3。
または、
「2-6.耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))」が等級4
もしくは耐火構造
これらの基準をクリアすることで、
木造であってもマンションと
表記することができるため、
ユーザーへアピールしたい
賃貸オーナーや住宅会社にとっては
メリットがあるものとなっています。
住宅会社各社の賃貸商品においても、
木造や軽量鉄骨造の
新商品を開発・発売する事例が出てきています。
木造3階建ての賃貸マンション発表
ミサワホームは、
二酸化炭素の排出量削減に寄与する木質建築で、
災害に対するレジリエンス性に優れた
3階建の賃貸マンション
「ベルリードマンション」を、
4月15日に発売しました。
同社が発売した「ベルリードマンション」は、
製造時の二酸化炭素排出量が
少ない木質建築と同社独自の高断熱・高気密の
木質パネル接着工法を採用しており、
太陽光発電システムや高効率給湯器などの
省エネ設備を組み合わせることにより、
ZEH-Mの実現が可能になっているということです。
住戸の仕様では、
コロナ禍の新しい生活様式として定着している
在宅ワークにおいて、共働き夫婦にも
対応可能とした複数箇所の
ワークスペースを設置しています。
さらに、ミサワホームが得意とする大収納空間
「蔵」を採用することで、
災害時の備蓄や居住スペースの
有効活用を可能としています。
また、共用部ではエントランスホールに
子ども広場やベビーカー置場を設けて、
入居者同士が交流できる工夫を取り入れています。
「ベルリードマンション」は、
木造の賃貸住宅商品となっていますが、
大手不動産ポータルサイトなどにおいて
「マンション」と
表記できる基準をクリアしています。
さらに同社では、独自の基準として、
【1】オートロックを備えた屋内・半屋内に共用エントランスを有する
【2】高耐候の外装を採用
【3】ZEH-Mの採用
といった3つの基準を設け、
これらの条件を満たす賃貸住宅を
「ベルリードマンション」とするということです。
ミサワホームでは、初年度80棟の販売を目標としています。
ミサワホーム以外にもパナソニックホームズでは、
軽量鉄骨造の3階建て賃貸マンション
「ビューノ ルガロ」を4月15日に発売しています。
また三井ホームは、
2021年7月にサステナブルな建築資源としての
「木」を構造材に用いた木造マンションの
新ブランド「MOCXION (モクシオン)」を
立ち上げています。
今後も賃貸住宅において、
高性能な建物を建築し、
賃貸マンションと表記された物件の供給が
広がっていくものと考えられます。
(情報提供:住宅産業研究所)