「2021年度グッドデザイン賞、 住宅会社の受賞状況」業界ニュース
この10月、2021年のグッドデザイン賞が発表されました。
応募数は前年の4,769件から
1,000件以上増加の5,835件と過去最多で、
1,608件の「グッドデザイン賞」受賞が決定しました。
以下、同賞の意義と住宅会社の受賞例について見ていきます。
グッドデザイン賞の意義と受賞効果
グッドデザイン賞(以下GD賞)の歴史は
1957年まで遡ります。
当時は日本企業による外国商品の
デザイン盗用が横行しており、
外交問題にまで発展していたこともありました。
そこで盗用の防止を図るべく、
日本オリジナルのデザインを奨励する
この制度がスタートしました。
当初の審査対象は一部の工業製品が中心でしたが、
1984年以降は次第にその枠を拡げ、
現在は建築や公共分野など幅広い領域を
取り扱うようになりました。
これまでの受賞件数は累計3.5万件以上を数えます。
「デザイン」と一言で言っても
単に「美しさ」や「洗練性」だけを
競うデザインコンペではありません。
「優れたデザイン」を
社会に普及させていくことを目的に、
私たちの生活をより豊かにすることができるか、
産業の発展に寄与するか、
ということも評価基準となってきます。
GD賞を販促の一部として
活用する企業もありますが、
その背景にあるのは知名度の高さで、
既に8割以上に上っています。
公益財団法人日本デザイン振興会が2020年、
全国の15歳以上の男女2,100名に行った
アンケート調査によれば、
「グッドデザイン賞を知っていますか」
という設問については、
「良いデザインを選ぶ賞であることを知っている」
と回答した人が59.6%、
「聞いたことがある」が24.0%、
「Gマークは見たことがある」が3.9%で、
合計87.4%の人が何かしらのかたちで
GD賞を認知していることが分かりました。
「Gマーク受賞企業の
イメージをお選びください」という設問については、
「センスが良い企業」と回答した人が62.6%、
「ものづくりが上手な企業」と回答した人が58.5%。
GD賞を受賞した企業は、
消費者から「ものづくりに関して
ポジティブな企業である」というイメージを
持ってもらえる傾向にあるようです。
住宅会社もグッドデザイン賞に多数選出
近年は大手ハウスメーカーのみらならず、
GD賞に参加する住宅会社が増えました。
GD賞を年間目標の一つとする
住宅会社があるほどです。
今年のGD賞については
大手ハウスメーカー8社に限定すると、
積水ハウス、大和ハウス、ミサワ、三井ホーム、
パナソニックホームズの5社の合計9点が選ばれています。
大手ハウスメーカーの中で
最多受賞件数となったのは
ミサワホームで、4点が受賞となりました。
これら4点のうち、住宅部門では2点。
豊かな自然環境との調和が印象的な住宅
「五感に訴えるランドスケープデザイン」、
山脈や湖などが一望できる傾斜地に
建築したセカンドハウス「富岳山荘」が受賞となりました。
その他、ニューノーマルの暮らしに合わせ
開発した住宅アイテムとして、
シンプルデザインが特徴の
「カウンターデスク」、
表層部シートに抗ウイルス・抗菌機能付き
特殊加工を施した床材「RMフロア」の2点が受賞しています。
同社は今年で32年連続受賞となり、
住宅業界では最長。
そして、累計受賞数についても
住宅業界最多の165点に上っています。
三井ホームでは木造マンションブランド
「MOCXION (モクシオン)」が
GD賞を受賞しましたが、
ブランドリリース時には同社の新たな挑戦として
業界内でも注目を集めました。
モクシオンの第1号物件は、今年11月に竣工した
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」です。
断熱等性能等級4、
一次エネルギー消費量等級5、
劣化対策等級3と、
住宅性能評価3項目での最高ランクに加え、
ZEH-M Oriented(BELS 認証)も取得しています。
建物は5階建てで、耐火性能を考慮して1階がRC造、
2~5階が木造の混構造となっています。
構造における最大の特徴は、
独自開発した高強度の耐力壁
「MOCX wall(モクスウォール)」です。
これは一般的なツーバイフォー工法の枠組みに
構造用面材「パーティクルボード」を
クギ打ちしたものですが、
壁倍率31倍に相当する耐力を有します。
三井ホームが以前建設した
5階建ての木造建築物では、
モクスウォールよりも壁倍率の低い耐力壁を
2枚並べていましたが、
モクスウォールであれば1枚で済むため、
工期短縮とコスト低減が期待できます。
2階以上を木造としたことで、
施工期間におけるCO2排出量は
同等規模のRC造の住宅よりも
半分程度に減らせる見込みです。
(情報提供:住宅産業研究所)