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「原価高騰を追い風に変える」経営・人材育成

コミュニケーション
2021.12.13

2020~21年度の住宅市場は、コロナ禍が
集客・受注・着工に大きく影響を与えている市場環境ですが、
今年はそれに追い打ちをかけるように
新たな問題が浮上しています。

2020~21年度の住宅市場は、コロナ禍が
集客・受注・着工に大きく影響を与えている市場環境ですが、
今年はそれに追い打ちをかけるように
新たな問題が浮上しています。


アメリカの住宅市場の好調や過剰物流の停滞等に端を発した
“ウッドショック”です。
構造用の輸入材が高騰して材を確保することも
容易ではなくなり、そこから波及して
国産材の価格も高騰しています。


輸入材の価格は高止まりしたとは見られますが、
ここからすぐに以前の価格まで
下がってくるということはないでしょう。
同時に木材以外の石膏ボードやガラス、
コンクリート等も値上がってきています。


部資材価格の高騰で住宅の販売価格は…?


住宅の建物原価が上がっているということで、
値上がり前の価格のままで販売を続けると
利益が削られることとなります。
適正な利益を確保するために、販売価格の見直しを実施した
ビルダー・工務店は少なくないでしょう。


早いところでは今年4~5月から、
遅いところでも7~9月の受注分から
販売価格を上げているようです。


住宅産業研究所の調べによると、
1年前と比べて販売価格を上げたという
ビルダーが約9割を占め、
坪単価では1.5~6万円、平均で約3.6万円
上げているということです。


営業サイドからすると、
「価格が上がると売りにくくなる」という
声が上がるかもしれませんが、
住宅は安くないと売れないのかというと、
そんなことはないでしょう。


一般的なビルダー・工務店の
中心価格帯は2,000万円台前半、
ハウスメーカーの中心価格帯は3,000万円台で、
500~1,000万円の開きがあると見られますが、
それでもハウスメーカーで
家を建てる客層は一定数存在します。


ハウスメーカーでは更にその上の
富裕層に向けた商品ブランドも投入し、
各種省エネ設備のオプションも合わせて、
1棟当たりの平均販売価格を年々高めてきています。


ハウスメーカーよりもローコストの
タマホームやヒノキヤグループは、
コロナ禍でも販売好調を維持していますが、
両社ともウッドショック以前か
徐々に販売価格を上げてきています。


特にタマホームは、意図的に価格を
改定したことと堅調な受注が噛み合って、
利益率を改善させています。


値上げは適正価格にシフトするチャンス!?


日本ではデフレ経済が続き、
住宅業界でもローコスト分譲ビルダーのシェアが高まり、
アパートの家賃以下の支払い月額で
土地+建物を購入できる建売住宅は増えてきています。


「できるだけ安いものを買いたい」
というのは当然の顧客心理ですが、
住宅の価格が少し安くなり過ぎてはいないでしょうか。


原価高騰をきっかけに販売価格を見直すことは、
適正な利益を生むための
価格設定をする良い機会かもしれません。
仮に木材等の原価が以前の水準に戻ってきても、
改定した新たな価格で売り続けることができれば、
利益率を高めることができます。


住宅の購入者はその多くが一次取得者であり、
「前に買った時よりも価格が上がった」
という比較はできません。
特に注文住宅の場合は、プランと仕様が
決まって見積りが出てくるまでは、価格は確定しません。


判断基準は
「以前と比べて値上がりしているかどうか」ではなく、
目の前の見積りが
「自分が欲しい住宅の価格として妥当なのかどうか」です。


価格に相当する価値があると思ってもらえれば、
以前よりも高い価格であっても
その客は購入してくれるはずです。
つまり資材価格の高騰を機に値上げをしても、
顧客離れは簡単には起きないと思われます。


これからのビルダーの価格戦略・商品戦略は、
ビルダー同士の競合で
値引き合戦に陥って利益を削るよりも、
ハウスメーカーで建てられる
予算の客層をターゲットとして、
そのシェアを奪いに行くということを
考えても良いかもしれません。


そのためには躯体の性能や各種仕様、
ブランド力、営業力等、あらゆることをハウスメーカーの
水準まで引き上げる必要がありますが、
中長期的な成長戦略を考えると、中小ビルダー・工務店は
あらゆる部分でレベルアップしなければ、
縮小していく住宅市場の中で淘汰の波に
飲み込まれることになるかもしれません。


(情報提供:住宅産業研究所)

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