「住宅業界注目の中古買取再販事業」市場動向
日本の住宅課題のひとつに、
約849万戸に上る空き家問題があります。
総務省の平成30年住宅・土地統計調査によれば、
空き家の総数は、過去20年で576万戸から849万戸と
約1.5倍に増加する中、空き家の種類別内訳で見ると、
「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた「その他の住宅」が、
この20年間では182万戸から349万戸と約1.9倍に増加しています。
また、既存流通と新築着工を合わせた「全住宅流通量」に占める
既存住宅の流通シェアは14.5%にとどまり、
欧米諸国に比べると6分の1から5分の1と、
非常に低い水準となっています。
住宅業界では、空き家の発生を抑制し
良質なストック住宅の流通を促進することで、
SDGsなどの社会課題の解決に貢献するため、
中古買取再販事業が注目されています。
ハウスメーカーの買取再販事業が本格化
パナソニックホームズは、
4月に子会社のパナソニックホームズ不動産内に
買取再販事業の専任部署「住宅流通推進センター」を新設し、
同社の戸建住宅やマンションの買取再販事業を本格展開しています。
「住宅流通推進センター」では、
パナソニックホームズ施工の既存住宅や
一般のマンション住戸を対象に物件を買い取り、
グループ傘下のパナソニックリフォームによる
リフォームやリノベーションを施し、
再販売までをワンストップで対応します。
また、パナソニックホームズ不動産の売買仲介ルート、
提携法人ルート、パナソニックホームズ新築部門などからも
情報を得ながら事業を展開します。
1戸当たりの販売価格は3,000~5,000万円程度を想定し、
同社では「住宅流通推進センター」が扱う買取再販事業において
2030年に売上高350億円を目指すということです。
ハウスメーカーでは、
その他にも積水化学工業住宅カンパニーが買取再販の新ブランド
「Beハイム」を立ち上げ、首都圏、中部、近畿の
3エリアのセキスイハイムグループで買取再販事業を行うなど、
各社が本格展開しています。
買取再販専業会社の新たな取り組み
ハウスメーカーが買取再販事業を本格化する中、
買取再販事業の専業会社にも新たなサービスの動きが表れています。
買取再販業界のパイオニアであるインテリックスは、
6月1日より販売するリノベーションマンションについて、
アフターサービス保証期間を最長20年に延長すると発表しました。
同社では、これまで最長10年のアフターサービス保証を
自社一括窓口で行ってきましたが、
アフターサービス内容を分析し、見直しを図り、
給排水管や電気等の新規交換箇所を対象に
保証期間を業界初の最長20年へ延長しました。
同社ではさらに、物件引渡し後の「1年点検サービス」を導入し、
リノベーションマンションのアフターサービスを拡充して、
安心で快適な暮らしを提供するということです。
首都圏を中心に、これまでに6,000戸以上の
リノベーションマンションを供給してきた中古買取再販専業会社の
エフステージは、木造中古住宅の流通を促進させるため、
東京都葛飾区の「開南エステート」と協業し
中古戸建リノベーションブランド
「リノハウス」事業を開始すると発表しました。
中古マンションはリノベ再販事業者が年々増加しており、
流通促進の一端を担っています。
一方、中古戸建に関しては、
木造の中古戸建住宅の資産評価が低いことや、
瑕疵による再販時のリスクが高く、取り扱う事業者が少ないため、
流通しづらいというのが現状です。
そこで、今あるものを大切に永く活かし、
未来の世代に資産をつないでいく次世代型の
新しい住まいの選択肢として中古戸建を再定義するべく、
新築戸建の請負や中古買取再販事業を展開する
「開南エステート」と協業し、
「リノハウス」の販売をスタートしました。
同社では、中古戸建の建物を資産として考え、
しっかりと評価するため、ホームインスペクションの実施や
既存住宅瑕疵保険への加入などの取り組みを通じて、
ユーザーへの安心・安全な住まいの提供を行っていくということです。