「withコロナで仕掛ける販促戦略は?」業界ニュース
コロナ対策の緊急事態宣言以降、総合展示場を主力に顧客を集めてきたハウスメーカーと比べると、集客・受注が好調なビルダーが少なくありません。ビルダーの好調要因はいくつかありますが、ハウスメーカーよりも事業規模、企業規模が小さいため、即断即決で即効性の高い戦略に舵を切り、その戦略を社内全体に浸透させるのも早いというのが要因の1つです。
コロナ以降の需要に合致するキャンペーン
この時期に効果的なキャンペーンを打ったビルダーの一つが、京都の大手分譲ビルダーのエルハウジングです。同社では4月半ばから5月にかけて「おうち生活応援キャンペーン」と題し、3つのキャンペーンを矢継ぎ早に打ち出しました。
1つ目が「宅配ボックスプレゼントキャンペーン」。
感染予防で宅配の配達員との接触を避けたいという需要を見込み、キャンペーン期間中の成約者に宅配ボックスを無料でプレゼントしました。
2つ目が「住宅ローン1年間無料キャンペーン」。
時短勤務や在宅勤務で5月以降の収入が減る世帯が増えると予測して、キャンペーン期間中の成約者に対し、入居後1ヶ月目から12ヶ月目の毎月20日に住宅ローン相当額を振り込むという内容です。
3つ目が「テレ55キャンペーン」。
分譲地の資料請求や来場予約以降の打合せをオンラインで行い、55日以内に最終図面を確定して申し込めば最大55万円を値引くという内容で、非接触で打ち合わせを進めたいという需要を狙ったものです。
これらのキャンペーン効果もあって、同社の3~5月の受注は前年同期比105%と好調でした。アフターコロナ・withコロナの需要を掴むには、エンドユーザーの立場に立って、何が求められているかを見極めることが重要です。単に「無料オプション」「○%値引き」といったキャンペーンを打つのではなく、コロナという状況下の需要に合わせた切り口で仕掛けたところが、同社のキャンペーンのポイントでしょう。
SNS、動画コンテンツでは何を見せる?
住宅購入検討者の情報収集の行動として、一昔前は、まずは総合展示場に行くというのが主流でした。ところが今年4月以降は緊急事態宣言で総合展示場が営業を自粛していたこともあり、ステイホームで自宅にいながら、まずはWEBで住宅に関する情報を収集するという行動が増えたのではないでしょうか。消費者の行動として、WEBで情報を探し、比較検討してモノを購入するというのは当たり前になってきています。住宅においても、まずはWEBで調べることで知りたい情報を簡単に得られるということに、消費者が気付き始めたのではないでしょうか。コロナ以前からWEBでの広告宣伝や集客への導線づくりを徹底している住宅会社は、コロナ以降も集客・受注の好調を維持している傾向にあります。
WEBでの情報発信で、各社が力を入れ始めているのが、動画コンテンツです。
消費者はWEBで情報を検索する際、パソコンよりもスマホを使うことが一般的となっています。スマホの小さい画面で、会社や商品を説明する長い文章を読んでもらうのはハードルが高いですが、動画はスマホの小さい画面でも静止画像や文字よりも多くの情報をわかりやすく伝えることができます。動画にも様々な用途があります。会社の知名度を高めるブランディングを目的とするのであれば、イメージ動画を作り込んでWEB広告・SNS広告から閲覧してもらうのが効果的です。会社の説明や自社の商品の性能解説等、自社HPに掲載している情報のほとんどは動画に置き換えられます。常設モデルハウスや建売物件の紹介動画はYoutubeに投稿しても良いかもしれません。
消費者の需要が高い動画コンテンツの1つが、インプレッション動画です。自動車でも、家電でも楽器でも、一般の消費者が実際に購入して「使ってみた」という動画はYoutubeに多く投稿され、その商品の購入検討者に参考にされています。住宅でも実際に自社で建てた家に住んでいるオーナーの声を届けることは有効なはずです。ただし、全世界に公開されるYoutubeに出演することに抵抗のあるオーナーも多いと思われます。この場合は、視聴者を制限したり、自社に資料請求や見学会予約をした人だけに見せるというクローズな運用のほうが良いでしょう。動画コンテンツが有効であると言っても、あらゆる動画をYoutubeにのべつ投稿するのではなく、目的によって動画の作り方や公開方法を変え、オープンとクローズの運用を使い分けることが重要になってくるでしょう。
(情報提供:住宅産業研究所)