住宅会社による環境への取組みハウスメーカー

「ABINC賞」とは、ABINC認証を取得した施設の中で、特に優れた取り組みを行う施設を表彰するものです。一般社団法人企業と生物多様性イニシアチブが開発した「いきもの共生事業所認証ガイドライン」および「土地利用通信簿」を評価基準として、生物多様性保全の取り組みを評価しています。

「プレミスト湘南辻堂」は、総戸数914戸の大型分譲マンションです。芝生広場で海を表現した「湘南の海ゾーン」と雑木林の「湘南の森ゾーン」を中心に、メインストリートには、ヒトツバタゴを植えた並木を設け、敷地の角にはサクラやモミジを植えて季節の変化を感じられる景観を特徴としています。生物多様性に貢献する緑地面積を約9,700平米確保しており、その面積率は25％を超えます。植栽の半数以上を在来種で構成し、地域の生態系に配慮した緑地計画となっています。また、樹林地をはじめ、屋上緑化や家庭菜園、流水・止水を有するビオトープ池等の多様な環境を複合的に配置するとともに、生息が期待される動物種に応じて生息環境や産卵環境を確保しています。

大和ハウスでは、2016年3月と6月に、プレミスト湘南辻堂の計画地およびその周辺に生息するモズやシジュウカラ等の鳥や、アオスジアゲハ等の昆虫類の生物多様性リスクを評価する生態系調査を実施しています。さらに藤沢市による自然環境実態調査等も踏まえ、同市の樹林地周辺において多く生息する動物種を指標生物として選定しました。そして、その指標生物が好む植栽計画を策定し、周辺環境との調和および生物多様性を維持するための環境保全に取り組んだということです。同マンションの入居者向けには、豊かな緑や生態系を維持・保全していくための自然観察イベントやモニタリングへの参加等、環境学習プログラムを計画しています。

これらの生物多様性保全への取り組みが評価され、ABINC賞の特別賞を受賞したということです。同社では、環境長期ビジョン「チャレンジゼロ2055」において、「自然環境との調和」を環境活動重点テーマの一つに掲げており、今後も自然資本とそれらが生み出す生態系サービスの保全・回復に努めるとともに、事業を通じて自然環境との調和、緑豊かな街づくりを推進していくということです。

脱炭素社会の実現に向けた新商品開発

大東建託は、脱炭素チャレンジカップ実行委員会が主催する「脱炭素チャレンジカップ2020」において、「“CLT集合住宅の商品化”によるCLT普及」の取組みが企業・自治体部門で「環境大臣賞 金賞」を受賞しました。「脱炭素チャレンジカップ」とは、全国の学校や企業、自治体、NPO等、様々な団体が、脱炭素社会の実現に向け、社会の変革を目指す活動を募集し発表することで、そのノウハウや情報を共有し、さらなる活動の発展に向けた連携や意欲を創出することを目指す全国大会です。

大東建託は2019年10月1日より、独自に開発したCLT工法による木造4階建て賃貸住宅「フォルターブ」の販売を開始しています。CLTは、コンクリート並みの強度と、木材の軽さを活かした建材として注目を集める木質建材です。国内での実用化には、耐熱性や施工性、事業性、工期等の課題があり、多くの企業･団体がその課題解決に向けて取り組んでいます。フォルターブは、それらの様々な課題を解決し、CLTの持つ「重厚感」「木質感」「モダン」をデザインコンセプトとしており、プランはシングル向けの1K・1DKを基本としています。

二酸化炭素（CO2）を吸収して炭素を固定化するCLTを建材として使用することは、製造時に大量のCO2を排出するコンクリートの使用を大幅に削減できるため、建築物の脱炭素化につながります。また、木材の伐採から建材利用、解体、破棄、そして植林まで循環的に利用することで、森林の成長を促し、CO2を吸収する力をさらに高める効果が期待できるということです。

（情報提供：住宅産業研究所）