初回接客は初めて家を建てる人の不安を解消することが大前提営業・接客
住宅営業においてやるべきことは「お客様の不安を解消すること」と「自社(の商品)を売り込むこと」の二つに集約されます。住宅は一生に一度の大きな買い物であり、ほとんどのお客様にとって初めての経験のため、様々な不安を抱えています。その不安を解消しないままに、いかに自社の住宅が良い商品なのかを説明しても、「貴方の会社にお願いします」という話にはなりにくいものです。そこで、初回接客の段階でまずはお客様の不安を解消しておくべきです。
不安なまま商品説明をしても購買意欲は高まらない
初回接客をモデルハウスや完成見学会で行う場合、お客様も「家を見学に来ている」という感覚のことが多く、営業マンが話す内容もお客様がそのときに見ている建物の説明中心になりがちです。ところが「この建物はいくらぐらいするのだろう」、「今は家を買うのに良いタイミングなのだろうか」、「まだこの会社を候補としているわけではないのに」といった不安があるままで建物の説明をされても、お客様の心には届きにくいかもしれません。そのため、一通り建物を見ていただいた後は着座してもらい、現状のヒアリングや不安の解消を行うわけですが、「見るだけのつもりだった」、「時間がない」など、着座を断られることもあります。となると、「見学(建物の説明)→不安の解消」という順番を逆にして「不安の解消→見学(建物の説明)」という順番で進める方法で進めるほうが良いかもしれません。見学会ではなく、お客様の不安を解消するセミナーやワークショップへの集客を初回接客とする方法です。
「時期」、「お金」の不安解消
セミナーの内容は前半と後半に分け、前半で不安の解消、後半で自社へのフレーミングを行います。お客様の住宅購入における不安の多くは、時期のこととお金のことです。時期については、現在は住宅ローンの金利が史上最低レベルに低いことや、住宅の建築費が徐々に高騰していることを説明し、「今が買い時」「動くなら早い方が良い」と伝えます。現在は住宅ローン減税や次世代住宅ポイント、住まい給付金などの支援制度があるので、そのお得な内容と期限を説明することで、「今が買い時」と伝えられるでしょう。お金のことは、住宅ローンの概要説明と、実際にいくら借りるとだいたいどれくらいの支払月額になるかをシミュレーションし、無理のない支払計画で総予算を考えることをお勧めします。より細かく予算を検討したいお客様には、ファイナンシャルプランナーによる資金計画をお勧めして次回アポを取るという方法もあります。
「選び方」の不安解消
セミナー後半では、会社選びや家選びの進め方を説明することで自社にフレーミングします。例えば断熱性能に自信がある会社であれば、「住宅にとって一番大事なのは、住み始めてからの暮らしが快適であること。夏涼しく、冬暖かい快適な住宅を選ぶためには、各社の断熱性能を比較するほうがいいですよ」と説明することで、自社が選ばれやすくなります。
自然素材を使っている会社であれば「住宅にとって一番大事なのは、住まう人の健康です。シックハウスの原因となる化学物質を使った家より、自然素材を使った家を選びましょう」と説明することで、自社の強みにフレーミングできます。セミナーで不安の解消と自社へのフレーミングを行った上で「一度実際に私どもの建物を見てみてください」と見学会に誘客し、そこで建物の説明をすると、構造や性能、設計・間取りのこだわりなど、自社が伝えたいことが伝わりやすくなるはずです。
セミナーの講師は社員が務めるのではなく、住宅専門のシンクタンクや、住宅業界誌の記者などの第三者に依頼するという方法もあります。社員が話すと「どうせ自分の会社の売り込みだろう」と思われることもありますが、第三者の客観的な視点から見た一般論の中に自社へのフレーミングを混ぜ込んでもらうと、説得力が増します。
また、講師が受講者に一方的に情報を伝える「セミナー」ではなく、参加者同士にも話す機会を与える「ワークショップ」という方法もあります。家づくりに同じような不安を抱えるお客様同士が共感し合うことで緊張がほぐれ、不思議と対抗意識のようなものが生まれて家づくりへの意欲が高まることもあります。「見学会」ではなく「セミナー・ワークショップ」への集客、ぜひお試しください。
(情報提供:住宅産業研究所)