大手メーカー中間決算から読み解く住宅市場の現状ハウスメーカー
大手ハウスメーカーの2019年度中間決算が出揃いました。多くのハウスメーカーでは、この決算発表において、2019年度上半期の販売・受注実績と、2019年度通年の販売・受注予測を開示しています。今週は、戸建の受注実績を開示している上場ハウスメーカー5社のデータをもとに、住宅市場の現状と今後について分析します。(上場ハウスメーカー5社=積水ハウス・大和ハウス工業・ミサワホーム・住友林業・旭化成ホームズ。積水ハウスのみ1月決算、その他は3月決算)
上半期実績:反動減など市場低迷で全社前年割れ
まずは、上半期の受注実績を見ていきましょう。
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【2019年度上半期の戸建受注件数】
※前年比・注文住宅と分譲住宅の合計件数
積水ハウス :▲ 5.6%・5,207棟
大和ハウス工業 :▲ 9.6%・4,069戸
ミサワホーム :▲14.2%・3,116戸
住友林業 :▲ 8.2%・3,900棟
旭化成ホームズ :▲ 6.9%・4,621戸
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開示5社すべてが前年割れ、10%内外のマイナスも目立つという、非常に厳しい結果です。苦戦の大きな要因としては、消費増税に伴う駆け込みの反動減が挙げられるでしょう。しかし、比較対象となる昨年上半期の時点で駆け込みがまだ少なかった点や、上半期実績と駆け込み時期が重なる積水ハウス(1月決算のため上半期は2~7月)もマイナスである点を考慮すると、「反動減」だけが理由とは言い切れません。ここ数年続いている住宅市場そのものの停滞・お客様の検討長期化が、根本的な要因と言えるでしょう。
通期予測:開示3社すべてマイナス予測、厳しい環境続きそう
続いて、今後半年間の顧客の動きを見込んだ、通期での受注予測はどうでしょうか。大和ハウス工業・住友林業・旭化成ホームズの3社が予測を開示しています。
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【2019年度通期の戸建受注予測】
※前年比・注文住宅と分譲住宅の合計件数
大和ハウス工業 :▲8.7%・8,200戸
住友林業 :▲9.6%・7,700棟
旭化成ホームズ :▲5.2%・9,470戸
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開示3社全てがマイナス予測という、非常に厳しい見通しです。昨年下半期が駆け込みのピークであることから、下半期も前年度を大きく上回ることは難しい見通しで、特に昨年下半期が好調だった住友林業は、上半期時点の実績(▲8.2%)をさらに下回る予測となっています。事実、各社の10月受注速報では前年比で2ケタ減が目立っています。お客様の検討長期化傾向が、10月1日の消費増税によってさらに加速している可能性もあり、この半年間は厳しい戦いが避けられないと思われます。
一方で、住宅ローン控除拡充・贈与税非課税枠拡充・次世代住宅ポイントなどの各種施策は締切が近付きつつあり、下半期の営業活動において最大の「後押し」材料になることは間違いありません。実際、これらの施策を知ったお客様が計画の早期化に転じるケースも少なくないようです。営業活動における丁寧な説明はもちろんのこと、集客段階でも「いま建てるメリット」を訴求することで、潜在顧客層の掘り起こしを行うことが、極めて重要になるでしょう。
(情報提供:住宅産業研究所)