住宅会社の働き方改革ハウスメーカー
2019年4月 働き方改革関連法が施行
今年4月1日に「働き方改革関連法案」が施行されてから4か月が過ぎました。関連法案の施行以降、報道等でも連日のように取り上げられており、各企業の経営者や人事担当者には様々な対応が求められています。
「働き方改革」とは、安倍内閣が提唱する「一億総活躍社会」のスローガンの下、働く人の目線で生産性を向上させる成長戦略のことです。柔軟で多様な働き方を増やすことを目的としており、長時間労働の是正、非正規雇用の処遇改善、生産性の向上等のテーマが提示されています。
働き方改革関連法で施行された制度の主なところでは、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、有給5日を1年以内に与えなければならないといった有給の義務化や、時間外労働の上限が原則月45時間、年360時間といったものがあります。時間外労働の上限規制については、大企業においては4月から施行されており、中小企業や一部の事業者には猶予期間が設けられ、2020年4月以降順次施行されます。多くの従業員が事業に携わる住宅業界では、働き方改革実現のために、様々な取組みを実施しています。
働き方改革で変わる営業現場
旭化成ホームズでは、5月より新商品の「my DESSIN(マイデッサン)」を販売しています。マイデッサンは、ユーザーからの評価が高い仕様をあらかじめパッケージ化した企画商品です。ターゲットとなるのは30歳前後のファミリー層で、共働き世帯を想定しています。ユーザーは、用意されている基本プランの中から好きなプランを選択します。その後、屋根形状や外壁といった外観イメージ、詳細な間取り、内装材、設備の順番に選択していくという商品になります。注文住宅における企画型商品は、ハウスメーカー、ビルダーではすでに存在する販売方法です。
旭化成ホームズのマイデッサンの特徴は、ユーザーがタブレット等を使って、好きな時間に設備やインテリアを見て決めることができるという点です。共働き家族の増加や、スマホ・タブレットの普及を背景に、時間をかけずに良いモノを手に入れたいというユーザーのニーズに対応するための新しい販売手法ということです。ユーザーにとっては、商品情報が多すぎることや、何度も打ち合わせをしなければいけないという従来の購入プロセスの負担を軽減することができるといったメリットがあります。また、販売する営業スタッフにとっても、打ち合わせや打ち合わせのための準備に必要な時間を削減することができ、働き方改革につながることが期待されます。
積水化学工業は、ショールームを使って営業の効率化を図っています。積水化学工業では体験型のショールームである「セキスイハイムミュージアム」を全国に開設し活用しています。セキスイハイム東北は、東北エリアでは初となる「セキスイハイムミュージアム仙台」を4月に開設しました。施設内では、VRやAR等の最新技術を使った体験型プレゼンテーション設備を使うことで、同社の工場生産やユニット工法といった特徴を実際の生産現場にいるように体験でき分かりやすく理解することができるということです。
また、他のミュージアムの多くは、担当の営業スタッフが見学に同行し、施設内や同社に関する説明を行うということですが、セキスイハイムミュージアム仙台では、専任のアドバイザーを配置し、施設内の説明を行うのはもちろんのこと、見学後のアンケート取得、ユーザーの疑問点を聞き出すといったことまで専任アドバイザーが行います。営業担当者のサポート体制を充実させることで、業務の負担を軽減し、営業の効率化を図っているということです。同社では、今後もさらにセキスイハイムミュージアムの全国展開を加速させ、今年9月末までに全国17拠点での開設を計画しています。
(情報提供:住宅産業研究所)