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空き家ビジネスは日進月歩業界ニュース

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2019.7.8

(1)空き家問題はアパート空室のほうが深刻?


2018年実施の住宅土地統計調査によると、国内の空き家の総数は846万戸です。前回実施の2013年から、空き家の数が26万戸増加しました。空き家数は増えたものの、大手シンクタンクが当初予測していた「2018年の空き家数1000万戸以上」と予測値ほどの増加率の伸びはなかったということです。

新築着工戸数がそこまで落ち込んでいないことを考慮すると、不要な空き家の解体などが進んだことが要因だと考えられます。国内の空き家の内、半数以上を占めるのが「賃貸用の空き家」で431万戸に上ります。最近ではメディア等が地方を中心に発生しているアパート空室問題や投資用アパート問題を取り上げるケースが頻発しており、エンドユーザーの間ではアパートに対するネガティブなイメージが蔓延しています。

2018年度の全新築着工がプラスに上向く中、貸家新築着工に関しては前年比4.9%減の39万戸に留まっています。空室となっている貸家の多くは築年数の古いものです。空室を解消するためには修繕やリフォームが打開策の1つですが、アパートの築年数分だけ、オーナーも歳を重ねており、高齢オーナーであればあらためて投資を渋ることは仕方のないことかもしません。オーナー自身は空き室がもったいないという考えがあったとしても、固定産税など税金さえ払えばいいという心理が働けば、費用をかけてまで入居者を募集しないことを選択することもあるでしょう。しかしながら、空き家が増えていくと、建物全体が荒んだ雰囲気になり、ますます人が寄り付かず、街にも悪影響を及ぼすという悪循環に陥る可能性もあります。アパートの空き室問題を打開するような貸家の活路の構築は急務となっています。


(2)「空き家を宿泊施設へ」の新潮流


近年、空き家解消に向けた策として、「民泊」施設として活用しようという動きが潮流の1つになりつつあります。この民泊とサブスクリプションを組み合わせたサービスが全国的に散見され始め、その一例を紹介します。今回取り上げるのは株式会社エニセンスが9月にスタートする宿泊サービス「HiQ(ハイク)」です。同社が本社を構える福岡を中心に、九州の民泊やゲストハウスに定額で宿泊できるサービスです。エニセ

ンスはアプリ開発やHP製作などIT関連事業を主軸に展開している企業であり、住宅をもともと扱っていたというわけではありません。しかしながら、同社社長である熊谷氏の「空き家と観光需要を結び付けたい」という思いから、民泊専用のアプリも開発し、9月から宿泊の予約受付が始まる予定です。契約期間は1ヶ月から1年までということで、契約期間に応じて月額4万~8万円の定額料金が利用者毎に設定され、何度でも宿泊することが可能です。県内を中心に30か所の古民家やホステルを予約状況次第でどこでも利用できることも魅力で、これからもさらなるサービス拡充も見込まれています。

目標とする会員数はHiQがスタートする9月に100人としています。ターゲットとするのは若い世代やインバウンドです。インバウンドに関しては特にアジアからの観光客が視野に入っています。九州地方は距離的に関東や関西よりも近いという立地の優位性もあることから、インバウンドが堅調に増えているようです。九州運輸局によると2018年に九州を訪れたインバウンドは前年比3.5%増の510万人。国別で見ると圧倒的に韓国からの観光客が多く、およそ半数を占める240万人です。韓国からのインバウンドだけで前年比9.5%増と過去最多を更新しました。九州にとって韓国は、福岡からソウルまで飛行機で75分、釜山であれば40分と、とても身近な国です。インバウンドの人々に日本らしい暮らしを体験できる民泊は訴求力のあるサービスと言えるでしょう。

宿泊施設については空き家から民泊施設へのコンバージョンを実施して活用し、施設の管理や清掃は民泊運営のノウハウを有するH-BRIDGEに委託する予定です。現在は主に戸建空き家を活用していますが、立地などの条件が良ければ、アパート一棟まるごと民泊に転用することもできるでしょう。現在、全国的に定額制民泊サービスは拡大しています。このメルマガで以前紹介した不動産会社のアドレスや、長崎市のカブクスタイルなどがあり、エニセンスに関しては業界外からの参入組となりますが、宿泊関連の窓口となるアプリの開発には同社のノウハウが存分に生かせるところでしょう。また、エニセンスはゲストハウスを開業するため、準備を進めています。福岡市内ウォーターフロント地区に近いビルを改装しており、3フロア計5室を設ける予定です。内装はインバウンド向けに和テイストで設え、1階のフロント近くにはゲームやコスメ美容品が試用できる共用スペースの設置も計画しています。


(情報提供:住宅産業研究所)

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