大手メーカー決算で振り返る2018年度の住宅市場ハウスメーカー
大手ハウスメーカーの2018年度決算が、5月中旬までに出揃いました。多くのハウスメーカーでは、この決算発表において、2018年度の販売・受注実績と、2019年度の販売・受注予測を開示しています。今週と来週は、上場ハウスメーカー6社の開示する販売・受注データをもとに、住宅市場の現状と今後について分析します。まず今週は、2018年度の実績を見ていきましょう。(上場ハウスメーカー6社=積水ハウス・大和ハウス工業・積水化学工業・ミサワホーム・住友林業・旭化成ホームズ。積水ハウスのみ1月決算、その他は3月決算)
販売:市場停滞を反映しマイナス目立つ
まずは、各社の販売実績です。
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【2018年度戸建販売件数】
(%は前年比・注文住宅と分譲住宅の合計)
積水ハウス :▲8.4%(11,636戸)
大和ハウス工業 :▲5.5%(8,716戸)
積水化学工業 :+3.2%(10,200棟)
ミサワホーム :▲5.5%(6,508戸)
住友林業 :+0.5%(7,900棟)
旭化成ホームズ :▲2.3%(9,858戸)
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販売単価の上昇や経営多角化によって、売上自体は増加しているものの、戸数・棟数で見ると、軒並み前年割れという結果です。販売実績は、2017年度~2018年度前半の受注実績を色濃く反映します。2014年ごろから続く住宅市場の停滞傾向が、そのまま販売実績に跳ね返っていると言えるでしょう。
受注:緩やかな市場回復と3月駆け込みで全社プラスに続いて、各社の受注実績です。
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【2018年度戸建受注件数】
(%は前年比・注文住宅と分譲住宅の合計)
積水ハウス :+2.6%(11,061棟)
大和ハウス工業 :+1.3%(8,983戸)
ミサワホーム :+0.7%(7,177戸)
住友林業 :+11.9%(8,513棟)
旭化成ホームズ :+2.0%(9,986戸)
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こちらは、開示5社すべてが前年比プラスとなりました。中間決算の時点では前年割れとなっていた積水ハウス・大和ハウス工業・ミサワホームも、通期ではプラスに転じています。プラスの理由は大きく2つ。まず1つは、住宅市場の緩やかな回復基調です。前述の通り、ここ数年は市場の停滞が続いていましたが、2018年度に入り受注の回復が見られるようになり、特に後半はその傾向が顕著でした。長年の停滞で前年比のハードルが下がっており、力強い回復には見えないかもしれませんが、それでも上向きつつあるという事実は明るい材料といえます。もう1つは、消費増税を見据えた、「駆け込み」です。各社の3月単月での受注実績は、軒並み前年比で2ケタ増となっており、前回増税時ほどではないものの、一定の駆け込みが発生した模様です。特に、増税後の支援策を利用するよりも、8%での契約でのメリットが大きい高価格帯のお客様が動き、ハウスメーカーに流れたものと思われます。次回は、2019年度の各社予測を見ていきましょう。
(情報提供:住宅産業研究所)