大手メーカー低価格商品投入への対抗策 前編
MBA
2008.5.26
今回のテーマ:大手メーカー低価格商品投入への対抗策 2008年5月26日
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【工務店MBA】建築業界の最新ニュース
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発行:株式会社ナック
工務店MBA事務局
/www.home-builder.jp/
TEL:03-3343-3000
日下部 興靖
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日下部 興靖
●はじめに こんにちは!ナックの日下部です。 この数ヶ月、工務店さんからも「客の劣化を感じる」という お問合わせが入ってくるようになりました。 大手ハウスメーカーもやビルダーも、低価格商品を揃えてきており、 大手メーカーVSローコストビルダーの戦いで工務店が弾き飛ばされ、 工務店さんが一気に苦しい状況になってきているようです。 これは、一部の地域ではなく、都会でも田舎でもかわらない問題点に なっているようです。 そこで、今週と来週はライバル会社の動向や、それに対する対抗策を 住宅産業研究所さんに聞いてみました。 今回も2回に分けてお送りします! ○●○●○●○●○ 工務店MBA 業界ニュース ●○●○●○●○● テーマ 「大手メーカー低価格商品投入への対抗策 前編」 昨年度(07年度)の住宅着工戸数は、当初予想されていたよりもかなり 厳しい結果でした。サブプライム問題に端を発した景気の先行き不安に、 資材費高騰などによる価格アップが加わり、若年一次取得者層は 住宅取得に消極的な姿勢を取っています。ハウスメーカー、地域の有力 ビルダーは、2000万円前後の低価格商品の投入で、若年層の需要喚起を 図る傾向にあります。 1.ハウスメーカー・ビルダーの具体事例 ここ最近、団塊世代を中心とした中高級狙いの商品への注力を続けてきた ハウスメーカーですが、昨年後半辺りからは、主に建売市場の拡大を図って、 若年層をターゲットとする低価格商品へ戦略を転換しています。 地域で強いブランド力を持つ有力老舗ビルダーも、主力商品とは別に 低価格帯の商品を投入し、お客さまの選択を促し受注に結び付けている 事例があります。 (1)積水ハウス「ファンタス」 今年度、積水ハウスは中高級コンサルティングセールス一辺倒だった 商品戦略を、「中級商品」にも拡大することを表明しました。 4月から販売を開始した「ファンタス」は、大々的な商品発表等は 行われていませんが、地方支店に限定して販売されている「ウラ商品」的な 位置づけの商品です。地方といっても三大都市圏近郊での取り扱いもあり、 販売エリアは広範囲に渡ります。「ファンタス」の販売概要は以下の通りです。 (a)若年層・一次取得者層の潜在需要を開拓 (b)地方の土地セット商品と位置づけ (c)事実上「ビーフリー」の総2階プラン (d)入社5年目までの若手営業社員が販売担当 (e)2200〜2300万円を想定、年間売上高1000億円を目標 商品仕様は旧主力商品「ビーフリー」を踏襲していますが、制震シーカスや 33mmエコルデック外壁は採用されず、総2階+ボックスを組み合わせたシンプル なプランです。ボックス部分は、和室、キッズリビング、サンルームなど、 好みに合わせたプラスα空間としての活用を提案しています。 価格帯やプランのわかりやすさが若年層に合致している商品です。 (2)ミサワホーム「スマートスタイルO」 昨年10月の販売開始以来、月300棟ペースで昨年下期に1300棟を売り上げた ヒット商品です。商品は土地セットを前提とした企画プラン型で、売れ筋価格は 1850万円前後と、ハウスメーカー商品としてはボトムラインの低価格商品です。 商品のポイントは以下の通りです。 (a)住まいづくり「5つのステップ」提案 (b)「プロが考えた」100の知恵と工夫 (c)「新・企画運用」でカスタマイズ可能 (d)「標準仕様&ベーシック」で価格対応 住まいづくりを「敷地建物→間取り→外観などアイテム→パッケージ仕様→完成」 という5つのステップで説明し、土地さえ決まれば82種類の中からプランを選択し、 カスタムするだけというわかりやすさで、スピード契約を促進しています。 (3)住友林業「セレクトワン」 4月から投入された住友林業の「セレクトワン」も企画プラン商品です。 床面積30坪台の若年層向けから50坪台の二世帯プランまで、100種類の幅広いプラン が用意されています。あくまでメインターゲットは30代の若年層ですが、 二世帯プランあり・木造住宅ということで、年齢層も広く狙えそうです。 平均2000万円前後の価格帯を想定しています。 (4)地域有力ビルダーの事例 地域有力ビルダーの中には、長年の地域密着と独自の商品力でブランドを確立し、 そのブランド力を活かして、低価格商品で客層の幅を広げて成功している会社が あります。 〈宮城県・A社〉円安の影響で部材の価格が高騰してしまった輸入住宅ビルダーが、 国内部材を使用する低価格の別ブランドを立ち上げる 〈岐阜県・B社〉自由設計の注文住宅を主力商品とするビルダーが、完全企画商品を投入 〈富山県・C社〉ローコスト住宅専門の子会社をつくり、商品・売り方を差別化 以上はいずれも、平均価格2500〜3000万円の中高価格帯ビルダーが低価格帯商品を 投入し成功している事例です。商品構成の二極化・多角化は、受注を伸ばす有効な 方法の一つではないでしょうか。 (情報元:株式会社 住宅産業研究所) ●次回予告 次回のテーマは、 「大手メーカー低価格商品投入への対抗策 後編」 を予定しています。 今回の内容をふまえて、対抗策についてお送りします!