災害に備える住宅会社の取り組み業界ニュース

前回ご紹介したような素早く対応することができる、住宅会社による仮設住宅は非常に重宝されます。今回は、大規模災害発生への備えとして、自治体や地域住民と連携し、事前の取り組みを行っている住宅会社の事例をご紹介します。

住宅会社による大規模災害への備え

賃貸住宅大手のレオパレス21は、11月27日に沖縄県那覇市と「災害時における賃貸住宅の提供に関する協定」を締結しました。那覇市では、東日本大震災以降、災害が発生した際の備えを目的として、民間企業と連携を図る為の支援協定を開始しています。今回レオパレス21と那覇市が締結した協定は、那覇市で地震等の大規模な自然災害が発生した際に、公営住宅や仮設住宅が十分に確保できない場合を想定し、レオパレス21が管理する賃貸住宅の情報提供および住宅提供を可能な限り支援する内容となっています。

レオパレス21では、熊本地震発生の際に、みなし仮設住宅としての物件の提供および救援物資の配布を行っています。また九州北部豪雨の際には、全国の自治体職員が被災地支援に行った際の住宅提供および住宅情報提供を行いました。さらに、2011年に発生した東日本大震災の復興支援としては、借上げ住宅の提供(961戸)および仮説住宅の建設(364戸)を実施しています。同社では、今後も災害時における地域住民への支援活動を積極的に行っていくということです。

地域と住宅会社連携の減災への取り組み

千葉県柏市では、大規模地震の他、土砂災害や浸水被害等の災害に直面した際に、地域ぐるみでの減災を目的として、地域と災害ボランティア、住宅会社の3者が連携して取り組む試みが始まっています。埼玉県越谷市に本社を置くポラスグループで、分譲住宅の販売事業を行っている中央グリーン開発では、同社が手がけた全150棟の大規模分譲団地の「パレットコート柏たなかエヴァーシティ」において、防災・減災をテーマにしたイベントを9月8日に開催しました。今回の防災・減災イベントのテーマは、近所同士で助け合うという意味の「近助（きんじょ）」ということで、中央グリーン開発と一般社団法人減災ラボ、パレットコート柏たなかの住民達が協力して企画し開催されました。

イベント当日は、非常事態に見舞われた地域がどう動き、食べ物をいかに確保するかという点に注目が集まりました。イベントで紹介された減災ラボによる「おいしいミニ炊き出し」は、減災ラボのスタッフが熊本地震の被災地支援に入った経験から得たレシピがベースになっています。災害発生直後24時間、緊急72時間、応急2週間目まで、復旧3カ月までと段階ごとにライフラインの状況や手に入る食材、心身の状態を想定して作られたメニューが試食として提供されました。また減災ラボにならい、地域住民が自発的に結成した「ご当地減災ボーイズ＆ガールズ」のブースでは、「災害時に役立つ節水＆時短パスタ」の作り方を紹介しています。その他にも水消火器による消火器体験や、大人と子供が参加するバケツリレー、防災マルバツクイズ等を行い、イベントを通して、防災・減災への備えや、住民同士のコミュニティに対する意識をお互いに高めることができたということです。

中央グリーン開発では、入居後のコミュニティ活動を、様々な角度から推進し、イベントの企画・開催を行っています。今後も「コミュニティと防災」、「日常からしなやかに備える減災」をテーマに、自社で手がける分譲地でのコミュニティの醸成を図っていくということです。分譲地の住民だけではなく、近隣地域へも広く案内し、新しい街の紹介とともに、楽しみながら有事に備えた防災・減災の意識を高めてもらう考えです。

（情報提供：住宅産業研究所）