災害多発国で被災者を救う住宅商品・トレンド
12月12日、今年一年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表されました。今年は、6月18日に発生し最大震度6弱を記録した大阪北部地震や、7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振東部地震等の多発する自然災害によって多くの人が被災したことから、、、、
災害の「災」の文字が選ばれました。「今年の漢字」は、財団法人日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字一文字を一般から募集し、最も多かった漢字一文字が選ばれるということです。平成最後の一字となる今年は、19万3000票を超える応募があり、「災」に決定しました。平成7年から始まった「今年の漢字」では、これまでに23個の漢字が選ばれています。
今年選ばれた「災」の字は、平成16年にも「今年の漢字」に選ばれています。この年もまた、新潟中越地震や台風等の多くの自然災害に見舞われました。特に台風は、一年間で10個の台風が日本に上陸し、観測史上最多を記録しています。地震や台風等の多発する自然災害によって、住宅に被害を受け避難所に避難する人の不安材料の一つとしては、プライバシーの問題があります。そこで今、新しいカタチの住宅が注目を集めています。
ビルダーが開発、移動型仮設住宅
木造住宅を取り扱う北海道のビルダーであるアーキビジョン21は、コンテナサイズの移動型木造住宅「スマートモデューロ」を災害被災地の応急仮設住宅として貸し出しています。今年8月には、災害被災地の応急仮設住宅の第1号として、西日本を中心とする豪雨被害に見舞われた岡山県倉敷市へ50棟の「スマートモデューロ」が届けられました。「スマートモデューロ」は、プレハブ式の建物より高い居住性を有する仮設住宅を素早く安価に届けることができ、快適な住まいを提供できるという点が強みとなっています。「スマートモデューロ」の大きさは海外輸送用コンテナと同規模の長さ12m、幅2.4mで内部は28.8平米となっています。
あらかじめ建てた「スマートモデューロ」の完成品をトレーラーで運び、現場で設置すると間もなく使用することができます。住宅の他にも店舗や事務所等、幅広い用途で使うことができるということです。空調設備が備えられており、内装には天然木が使用され、内部の大きさは2~4人程度が同時に入居可能な広さを確保しています。アーキビジョン21では、9月に発生した北海道胆振東部地震で自宅建物が被災する等の甚大な被害を受けた世帯を対象に、「スマートモデューロ」100世帯分を有償で貸し出すサービスを10月1日から始めています。「緊急住宅レスキュープロジェクト」と題した今回の取り組みでは、被災地に多い農家や酪農家等、地震で被災しながらも仮設住宅等の入居対象とならなかった被災世帯でも、自宅敷地内に仮住まいを提供することができます。貸出期間は最長2年で、家賃は月額で7~11.1万円ということです。
全国配置を目指す、災害時宿泊ユニット
分譲住宅の供給を主とするビルダーのアーネストワンでは、2016年の熊本地震の発生を受けて、災害時宿泊ユニット「クレイドルキャビン」を開発しました。「クレイドルキャビン」は、避難所等に運搬・設置をすることができ、設置後すぐにプライバシーの守られた快適な空間を作れるのが特徴となっています。内部を自由にカスタマイズできるコンテナとなっており、4人が寝られる寝室タイプや、トイレ・シャワーの付いたタイプ、女性用トイレがメインのタイプ等、様々なタイプが用意されており、現在も他の用途のユニットを開発中ということです。
また平常時にはガレージや防音室、各種店舗、アトリエ、移動事務所等と自由な使い方が可能で、快適に過ごせるように外周部すべてに断熱材を入れて断熱性能を確保しています。太陽光パネルや蓄電池の搭載も可能で、照明やエアコン等の電気機器も使用できるということです。価格の目安は、ハイグレード寝室タイプが620万円、スタンダード寝室タイプが480万円、トイレ・シャワータイプが460万円となっています。
アーネストワンでは、いつ起きてもおかしくない大地震等の大規模な自然災害に備え、全国の市区町村に「クレイドルキャビン」を配置してもらうための広報活動に注力しているということです。
(情報提供:住宅産業研究所)