住宅会社こそ、ITによる業務効率化を図ろう
前回のメルマガでは、国内企業のIT活用事例を紹介しましたが、今回は住宅業界にスポットを当てていきます。新築・リフォーム業界に関しても、ITが今後の成長を見据える上でのキーワードの1つです。ウェブ、ネット含めIT活用が、人手不足の解消に向けた業務スピード化・効率化に寄与するとの期待があり、結果として人材教育、利益改善にもつながる可能性が高いでしょう。
それでは現在、どのようなテクノロジーが活用されているのか、またこれからITを取り巻く環境変化の中で、住宅業界がどのような風に変化していくのかを取り上げます。
3D建築CADとVRシステムは体験型販促ツール
新築住宅やリフォームにおいて、施主がどれほどの仕上がりイメージを掴めるかは重要です。平面図では分かりにくいものを3D化して提案すれば、施主はより現実に近いイメージを持つことができます。そこで有用性が高いとされているのが、3D建築CADやVRシステムです。住宅業界では昨年あたりから、この技術の普及が広まって来ました。VRの仕組みを開発している1社が、大阪のイオグランツです。3D建築CAD、 ウォークインホームやVRシステムEOPANを住宅業界向けに提供しています。対面プレゼンを念頭に置いた仕様となっており、施主と話をしながらプランを入力するだけで、自動的に3Dパースが出来上がるというものです。図面、積算にしても、圧倒的にスピードが速いというのが、同社のシステムの強みであり、打ち合わせ時間を大幅に短縮できる要因でもあります。
コンピュータシステム研究所の提供するプレゼンシステム「ALTA」は、パソコンのCADプランと連動させ、ゴーグルを装着することで本格的なVR体感が可能です。間取りや色合わせ、更にキッチンの高さ、距離感等もVRを使ってリアルに体感できます。また、リモコンを使ってVR空間を移動したり、扉を開閉したりと、リアルな空間として体感できることが特長です。専用のペンで図面を書くことによって、壁などが立ち上がる仕組みも顧客へのインパクトが大きいと言えます。
リフォーム案件でも瞬時の見積もりでスピード営業
リフォーム営業では価格提示が極めて重要で、顧客がリフォームをする上での大きな判断材料と言えます。単一のリフォームであれば施工費込みの費用を算出しやすいですが、複合型リフォーム、大型リフォームになるほど、見積もりに要する時間が長くなる傾向にあります。目指すべきリフォーム営業は、現場を確認し、持ち帰ってから再度見積もり提出に赴くのではなく、その場で正確かつスピーディーに見積もりを顧客に提出できることであり、生産性を高める意味においても重要と言えます。リフォームにおける見積もり作成に関しても、やはりIT技術が有用でしょう。
例えば、リフォーム見積もりシステムで多くの企業に導入されているのが、創業20年、サポート社数が3,000社にのぼるリフィードが提供する「イエプロ」。打ち合わせ、プラン作成、見積もり作成をスピーディーに行えるシステムです。基本的にはタブレット上での操作となり、使用手順としては、
1)カテゴリー別にリフォーム箇所を選択まず、キッチン、浴室といった部位、または内装、外装などから選択します。
2)プランを選択次に、DKタイプ、LDKタイプなど施工面積を選択します。
3)施工明細をそれぞれの部位で選択
最後にフローリング材や廻り縁、壁の仕上げ等を選択して完了です。1)~3)の操作が完了した後、プランシート・見積もり詳細表示を選択すれば、すぐに見積りを作成できます。単品見積もりは10秒、部屋別見積もり1分、全面リフォームにおける見積もり10分というスピード感で提案しており、シミュレーションしたプランの見積もり価格に対して、周辺競合業者の同一プラン参考価格を表示できるのも特徴です。
またLIXILでは、昨年7月から初期営業支援ツール「K-engine リフォームアクセル」
の提供も行っています。これはK-engineというIT会社の仕組みを使用したもので、LIXILでは施工管理のツールとも連携させて、営業から工程管理、顧客管理までの一気通貫システムを構築しています。このような技術はハウスメーカー等ではまだ、導入前段階、もしくは導入間もないと言えます。組織が大きいこともあり、早期に拠点展開させていくのが難しいということもあるはずです。ビルダーが新規にリフォーム事業を手掛けようとした場合、こういった仕組みを導入すれば早期の事業立ち上げにつながるでしょう。
(情報提供:住宅産業研究所)