ターゲット攻略を目指す木造住宅戦略商品・トレンド,業界ニュース,ハウスメーカー
積水ハウスは、苦戦する戸建住宅請負事業の復活を図るため、木造住宅事業を強化しています。積水ハウスの2018年度1月期の決算によると、、、
会社全体としては増収増益を達成し、好調を維持しています。但し、戸建住宅や賃貸住宅の請負事業について見てみると、賃貸住宅に関しては成長が鈍化、戸建住宅では受注が減少し売上高も減少しています。
木造強化で一次取得者層のボリュームゾーン開拓
一方で同社では、ZEHの提案や3・4階建て住宅などの高付加価値商品の販売を強化したことにより、戸建住宅・賃貸住宅ともに1棟あたりの単価は上昇しています。
苦戦する戸建住宅事業をテコ入れするため、積水ハウスでは、価格帯を抑えた木造住宅商品を投入し、住宅購入のボリュームゾーンである一次取得者層の開拓に力を入れていくということです。
具体的には、積水ハウスのグループ会社である積和建設が提供する自由設計住宅の「積和の木の家」の販売を強化していきます。中高級路線を展開する積水ハウスの2017年度の2階建て戸建住宅の1棟単価が3,807万円であったのに対して、積和の木の家の平均販売価格は2,200~2,300万円となっています。
積水ハウスでは、中高級路線は今後も継続していきながら、積和の木の家でボリュームゾーンの一次取得者層からの受注を拡大させることで、グループ全体としての2ブランド戦略を積極的に推進していくという考えです。
積和の木の家の販売強化のため、同社では今後、営業体制の一新を図るということです。現在、100名体制の営業担当を200名体制まで増強します。
また、来年10月に予定されている消費税増税の駆け込み需要を見込み、2018年秋頃には、積和建設の全国18社の統一商品を企画・販売する計画も発表されています。2017年度の積和の木の家の実績は、受注棟数529棟で、受注金額は123億円となっています。
積水ハウスでは、営業体制の強化などにより、まずは1,000棟体制の構築を目指しているということです。また、近い将来には、「積和の木の家」事業を積和建設から切り離し、専門の新会社を設立することも計画しています。
東京シェア拡大のための木造邸宅プロジェクト
大和ハウスは、木造フルオーダーにより世界にひとつだけのプレミアムな邸宅を提供する「プレミアムグランウッド」の東京プロジェクトを始動させました。
大和ハウスでは、従来から木造による注文住宅「グランウッド」を全国で展開し、木造住宅にも力を入れてきました。2017年4月には、兵庫県芦屋市に「プレミアムグランウッド神戸・芦屋」をケーススタディハウスとして、最高級木造住宅商品に位置づけ展開してきています。
しかし、木造住宅では同社のシェアは高くなく、東京エリアではトップ10に入れないという課題がありました。特に高級低層住宅エリアである世田谷区や杉並区では、競合他社と比べて低いシェアにとどまっています。そこで、木造住宅でのシェアアップを図るとともに、東京エリアでのシェア拡大を目指して実施するのが、プレミアムグランウッドの東京プロジェクトです。
大和ハウスでは、東京都世田谷区等々力の土地を入手し、ケーススタディハウスを建設しました。このケーススタディハウスを起点に東京の高級木造住宅市場に参入し、シェア拡大を図る計画です。
プレミアムグランウッド東京プロジェクトでは、顧客の特別なこだわりを追求する「逸品」が揃うプレミアムな住まいを提案するということです。
デザインは過去にグッドデザイン賞を受賞した社内デザイナーをはじめ、優秀な設計士が担当し、施工も現代の名工に選ばれた職方など、専任スタッフが担当します。
東京のケーススタディハウスである「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」は、木造軸組工法による地上2階建ての建物で、232.66平米の敷地に、延床面積153.54平米のモデルを建設しています。
建物と庭を一体的にデザインし、自然と共生する「庭屋一如」の住まいとしており、中庭と居室が連続する設計で、都市部でも自然をすぐそばに感じられるということです。
また、左官職人の技によって仕上げた壁に対し、照明デザイナーが照明計画を行い、太陽の光では表現できない陰影を生み出しています。
大和ハウスではケーススタディハウス「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」を拠点に高級木造住宅市場で「プレミアムグランウッド」をアピールし認知を高めていく考えです。
「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」は、9月頃まではモデルハウスとして使用し、その後は売却する予定となっています。「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」の価格は参考価格で、2億7500万円ということです。
(情報提供:住宅産業研究所)