大手ZEH普及率2トップの積水ハウスとセキスイハイムの現状商品・トレンド,ハウスメーカー,太陽光/省エネ/ZEH関係
前回述べた通り、大手ハウスメーカーのZEH普及率は、積水ハウスが76%でトップ、2位のセキスイハイム(積水化学工業)は50%を達成しています。セキスイハイムに関しては、初の年間ZEH標準化の達成となりました。両社合わせて年間の住宅完工実績が3万棟近くとなりますので、少なく見積もっても年間で1万棟以上のZEHを供給していると推計されます。
積水ハウスが賃貸マンション、分譲マンションでもゼロエネ実現
ZEHのリーディングカンパニーである積水ハウスが、国内初となる全住戸でZEH基準を満たす賃貸住宅「ZEH21」を石川県金沢市で建設しました。ZEH業界では、今期から全戸ZEHのマンションをZEH-Mと称する動きもあり、この先駆けとなるプロジェクトと言えます。
共同建て住宅でのZEH達成が、戸建以上に困難であることは言うまでもありません。特に「創エネ」という観点では、住戸数に対して相対的に屋根面積が小さくなるため、1戸当たりの太陽光パネル搭載量はどうしても少なくなります。
「ZEH21」では、1住戸あたり平均2.4kWです。そのため、「省エネ」を徹底することでZEH基準を達成しました。全住戸で高断熱複層ガラスを採用し、高い断熱性能を確保しながら、各戸の設備には高効率エアコン、高効率ヒートポンプ給湯器、節湯水栓、LED照明などを採用してエネルギー消費量を最大限削減しています。
また、年間日射量の少ない金沢市で賃貸住宅のZEH化を達成したことは、全国どこでもZEH賃貸住宅を展開できる可能性があることを証明したとも言えるでしょう。このZEH賃貸マンションは入居者にとっても大きなメリットがあります。
省エネ性の高さと太陽光発電により買電量を減らせるため、月々の光熱費を節約できます。また、断熱性能が高いことで、冬は暖かく、夏は涼しく快適に暮らすこともできます。ただし、建設時のイニシャルコストを考慮すると、家賃設定は周辺相場より高くなりそうです。
また、積水ハウスでは業界初となる全住戸ZEHの分譲マンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」(名古屋市千種区)を建設中で、来年2月竣工を予定しています。同マンションでは、開口部の断熱性を従来の2倍に高めるなどして、住戸単位の断熱性を4~5割向上させています。
また、全住戸には平均約4kWの太陽光発電システムと燃料電池「エネファーム」を搭載しており、全住戸ZEHを達成するようです。
ZEH普及率50%到達、セキスイハイムのZEH対応力
セキスイハイムは、2015年12月時点でソーラー住宅建設累積169,922棟のギネス記録を持っておりスマートハウスには業界でいち早く着手してきました。ZEHに関しては、16年度の普及率28%、17年度は50%と前年から大幅に上昇しています。同社ではZEHとは別で、家電込みエネルギーゼロ達成状況調査を進めています。
2016年に入居したセキスイハイムオーナー2,951邸における2017年時点の調査では、過去最高となる42%が家電込みエネルギーゼロを達成する結果となりました。同社のZEH普及拡大を後押しした商品が、17年7月に発売した「スマートパワーステーションGR(以下、SPSGR)」です。
SPSGRのポイントは下記の3つ。
・主流だったフラット屋根と切妻タイプに寄棟屋根タイプを加え、顧客ニーズに対応
・寄棟にしたことで、小屋裏空間を最大17畳の収納空間として活用可能
・PV13kW搭載可能で、太陽の動きに合わせたパネル配置で発電量も増大
SPSシリーズは17年7月時点で受注累計8,700棟の人気シリーズで、発売当初は10kW以上の太陽光パネルを載せられ、全量売電することでローン返済の手助けにもなると訴求していました。
今回のSPSGRはZEH対応商品として訴求し、SPSシリーズの17年下期の受注は昨対104%と伸長しています。
また、セキスイハイムは狭小地でZEHを達成できる商品「デシオアーバン」をこの1月に発売しています。同商品ではZEH断熱仕様を標準化し、PVに関しては設置効率とパネル1枚当たりの発電効率を向上させたことにより、3階建てでもエネルギー自給自足率80%を理論上実現可能としました。
また、従来の全館空調システム「快適エアリー」に加え、新開発の「床あったかシステム」を搭載しています。同システムは2階、3階の床下に放熱シートを敷設してシートに温水を循環させる仕組みで、足元の温かさを確保しました。同社は住み心地の良さにもこだわった「デシオアーバン」で、今期300棟の販売を計画しています。
(情報提供:住宅産業研究所)