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消費増税をフックとした需要喚起はもう始めてもいい業界ニュース,市場動向,太陽光/省エネ/ZEH関係

市場動向
太陽光/省エネ/ZEH関係
業界ニュース
2018.4.2

19年10月に予定されている消費増税を控え、最後の準備期間とも言える18年度が始まりました。その対策として、まずは市場の動きを予測してみます。


消費増税で市場はどう動く?


17年度の住宅着工はまだ国交省の集計は出ていませんが、17年4月~18年1月の累計で80.8万戸。前年同期比2.4%の減少で、17年度通期では95万戸程度の着工に落ち着くと予測されます。


前回(5%→8%)増税前の13年度の住宅着工は98.7万戸、持家着工は前期比11.5%増の35.2万戸でした。現在はこの頃と比べると、株価や消費性向等の景気動向は良く、金利は上昇基調に推移しているものの今のところは低金利を維持しています。


では13年度よりも景気の良い18年度のほうが多くの駆け込み需要が発生するかというと、そうではなさそうです。


前回は5%から8%への増税で、その先に10%に上がるという認識があったため、5%のときに大きな買い物をしておくことのお得感は大きかったはずです。今回は2%の増税のため2000万円の家を買うとしても40万円の差で、前回と比べるとお得感は見劣りします。


また、13年度は東日本大震災後の復興需要が続いていた時期であり、13年4月には日銀の異次元緩和の発表という特殊な要素もありました。


年代別の人口を見ると、住宅一次取得の中心である30代の人口は、13年は1750万人だったのに対し、17年時点では約1500万人に減少しています。新築だけでなく、中古を買ってリフォームするという住宅取得の選択肢も、以前より一般的になってきています。


これらの市場背景を勘案すると、増税前駆け込みはあっても前回ほどは盛り上がらず、18年度の持家着工は前年比7~8%増の約30万戸程度で着地すると予測されます。


駆け込み客捕捉のポイントは?


前回ほどの盛り上がりには欠けるにしても、少なからず消費増税前の駆け込み需要は発生するでしょう。今回消費税8%で住宅を建てられるのは19年3月までの契約または19年9月までの引き渡しなので、19年1~3月の受注は大きく膨らむと思われます。


前回増税前は、消費税5%で契約できる期限の1年前から、大手ハウスメーカーの月次受注は前年比二桁増を続けていました。今回もこの4月から徐々に受注は上向くと考えられそうです。


つまり、消費増税をフックとした需要喚起はもう始めてもいいということです。今回の消費税の増税幅は2%で前回と比べるとお得感は少ないので、他の要素も絡めて訴求するのが効果的と考えられます。


例えば、前回増税時には無かったのがZEHです。今年度のZEH支援制度は、経産省、環境省、国交省の3省が一体となって推し進められます。


従来のZEHに加え、より外皮性能が高い躯体で各種設備機器を搭載する場合、ZEHよりも補助金額が高くなる「ZEH+」や、南側の屋根面積が取りにくい都市部狭小地を対象として、太陽光発電の設置無しでも要件を満たすとする「ZEHオリエンテッド」が新設されます。


現状では、ビルダー・工務店のZEH普及率はまだ低いですが、補助金を受けられる間口が広がることになります。断熱性能の高い躯体や太陽光発電による光熱費削減メリットと合わせて、ZEHはお得感訴求の武器の一つとなるはずです。


昨年度からはフラット35に「子育て支援型」「地域活性化型」という新たな金利優遇がスタートしています。地方自治体と住宅金融支援機構の協定で採用される制度なので、優遇を受けられる条件は自治体によって異なります。改めて自社営業エリアの制度を確認しておくべきでしょう。


景気が良くなると金利は高まるので、現在の低金利は底を打っているという見方もできます。「住宅ローンを借りるなら早い方がいい」という訴求は、エンドユーザーを動かす動機付けになりそうです。


受注のピークを分散させることも考える


前回増税時の教訓として受注が、増税前のギリギリの時期に集中したため施工が、逼迫して現場が上手く回らないということがありました。人手も資材も集めにくくなり、工期が長引けば無駄な経費が出て利益が削られるということも考えられます。


施工を平準化するためにも、受注を19年1~3月に集中させるのではなく、それより前の時期に早めに契約したほうが、しっかりと現場管理ができて施工品質の良い家を建てられるという説明をしても良いかもしれません。


今年度は、まずはこの4月から「消費税8%のうちに建てたほうがいい」と需要を喚起し、早めの購入を勧めること。そして、年度末の3月に向けてはキャンペーンやイベントで今建てたい客を確実に集客すること。期間限定で、設計や施工の手間を軽減できる規格型商品を用意しておくのもいいでしょう。


そして、駆け込みが本格化する19年1~3月はとにかく受注を刈り取るというのも一つの戦略ですが、その後の反動減でマイナスが続けば、中期的な視点からはあまり意味がありません。


駆け込みを想定しながら先食い・先送りを調整して、年間を通して受注・施工を平準化することも意識しておいたほうが良いでしょう。


(情報提供:住宅産業研究所)

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