住宅営業に広がるVR活用商品・トレンド,営業・接客,ハウスメーカー,IoT/AI/VR関係
大手ハウスメーカーなどを中心に、住宅営業において最近注目されているのが、VR技術を活用した営業方法です。VRとは、「VirtualReality(仮想現実)」の略で、コンピューターで作った映像の中に入り、現実のような疑似体験ができるのが特徴です。観光分野など様々な業種でVR活用が進んでいますが、住宅会社でも各社がVRを使った営業方法を相次いで発表しています。
VR活用が作り出す無人接客ブース
大和ハウスはグループ会社7社と、既存住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの住宅ストック事業を強化するためグループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を1月に立ち上げました。
これまではグループ各社が個別に展開してきた住宅ストック事業の情報を集約し、ユーザーの状況に応じたリフォームや、買取再販などの提案をできるようにしました。
リブネスでは、新たに住宅ストック事業に関連する相談窓口を設け、全国のユーザーからの相談や要望に対応します。
また、全国に展開する営業拠点網や不動産仲介ノウハウ、点検・リフォーム技術などのグループ力を活かしたワンストップサービスを提供するということです。リブネスの目玉の一つと言えるのが、VR技術を活用した内見サービスの導入です。
グループ会社である大和情報サービスが運営するショッピングモール「湘南モールフィル」では、2月に無人のVR遠隔接客ブース「どこでもストア」を、住宅メーカーとして初めて導入しました。
「どこでもストア」は、VRと遠隔通話の技術を活用することで、ユーザーが不動産仲介店舗などを訪れなくても気軽に物件を内見できるブースです。戸建住宅や分譲マンションなど最大500件の不動産物件について、VRゴーグルで物件の広さなどを確認できます。
さらに、リビング、キッチン、玄関、寝室、トイレなどの見たい箇所を選択すると、VRを通して360度方向から疑似体験することもできます。
また、気に入った物件の詳細な説明が聞きたい場合には、ブース内に配備したタブレット端末を通じて、テレビ電話によって直接営業スタッフと通話をすることも可能です。
大和ハウスでは今後、グループが運営する商業施設「イーアスつくば」や「イーアス高尾」などでも、VRを活用した「どこでもストア」を展開する予定ということです。
邸別自由設計のオリジナルプランをVR化
積水ハウスは、最新のVR技術を駆使して、顧客向けのプレゼンを強化しています。
これは、積水ハウス独自のCADシステムと連動しており、従来の間取り図やイメージ画像では顧客に伝えにくかった、広いリビングや吹き抜け空間、大開口部の雰囲気、木質仕上げの質感などを、360度3DでVR体験することができるというものです。
これまで、モデルハウスやマンションギャラリーなどでは、VRを使った疑似体験ができる事例もありましたが、積水ハウス独自のCADシステムと連動させることで、邸別自由設計のオリジナルプランを短時間にVR空間で体験できるように全国で実用化したのは、住宅業界初ということです。
積水ハウスは、「スローリビング」をテーマに高級な住宅提案を展開しています。室内と庭とのつながりや、四季の移ろいを室内の暮らしに取りこむ設計を強みとしています。
季節や時間の変化による室内の雰囲気や、隣地建物との距離とその影の影響、室内に差し込む木漏れ日の雰囲気など、平面図では伝わりにくい部分を、360度3Dの臨場感ある空間でVR体験してもらうことで、営業折衝と設計提案における顧客の満足度を高める狙いがあります。
また、邸別自由設計によるオリジナルプランのVR用データは、持ち帰ることもでき、自宅でスマホを使いVRの臨場感あふれる空間を体験できることで、家族での住まいづくりの夢や会話を弾ませ、住まいづくりのプロセスをこれまで以上に楽しんでもらうツールとしても活用されています。
対面のプレゼンでは、面談後に繰り返し気になる場所を確認することが難しいですが、VR技術を活用することで、顧客が納得するまで何度でも確認することが可能となります。
さらに、積水ハウスでは、全国の展示場でモデルプランによるVR体験も実施しているということです。
(情報提供:住宅産業研究所)