AIの波が住宅にも押し寄せる~2017年住宅業界ニュース商品・トレンド,ハウスメーカー,IoT/AI/VR関係
2017年も年末となりました。今回は1年間の総括ということで、住宅業界のニュースをいくつかピックアップしてみます。
AIが住宅業界に到来、話題のAIスピーカーで生活が変わる?
2017年はテレビや新聞を通して、多くの方々がAI(人口知能)という言葉を耳にしたのではないでしょうか。流行語大賞にも「AIスピーカー」がノミネートされ、今や国内外でAIを含めた第四次産業が活気を帯びています。このAIの波は、住宅業界にも押し寄せています。
大和ハウスは2017年11月、AIスピーカー「グーグルホーム」を活用するIoT住宅を発表しました。同商品は、「ダイワコネクト」と称し、グーグルホームによる音声認識で住宅設備を制御したり、普段の生活から取得できるデータを活用し、省エネ、家事の効率化、健康への配慮といった付加化価値を提供できる住まいの実現を目指しています。
既に、「渋谷展示場」(東京都渋谷区)と「ジーヴォΣグランデ展示場」(大阪府吹田市)の2拠点を活用して各種の実証実験が行われており、2018年1月より戸建住宅での提案を開始するということです。
一方、導入促進においてのネックもあります。特にイニシャルコスト・ランニングコストを考慮すると、今すぐに取り入れようとするユーザーは一部であり、必要性を感じないと考える方が大多数でしょう。
さらに、AIスピーカーのグーグルホームに関しては、一般向けにも販売されており、家電量販店等で手に入れることができるため、AIスピーカーのみでの訴求は難しいと言えます。
今回の「ダイワコネクト」は、これまで同社が培ってきた研究や経験、エンドユーザーの住まいを提供している立場であることを活かし、開発元のIT企業による実現が難しいサービスを提案できるかが、差別化のカギになってくると思われます。
将来的には、高齢者や障害者などの自立的な生活を支援する手段の1つとして、活路を見出せるのではないかと考えています。
低価格商品発売でシェア拡大狙う
2017年に大手ハウスメーカーが発売した商品の一部には、ある特徴がありました。共通するワードは「普及価格」です。
近年、大手ハウスメーカーは飯田グループや地場の有力ビルダーの躍進により、年間受注棟数が伸び悩み、住宅1棟あたりの単価を上昇させることで増収を図ってきました。
高単価ではあるものの、品質の高さやアフターフォローの充実化により、ビルターと差別化してきました。メーカーとビルダーが手掛ける住宅の大きな違いは「価格」です。棟数シェアをビルダーに取られていることは、平均所得の慢性的な減少トレンドが発生したことも影響しているでしょう。
そこで、大手メーカーの数社がビルダーの対抗戦略と言える低価格商品を打ち出しました。
積水化学工業が2017年10月に発売したのは、「グランツーユーV」。坪単価50万円台後半からで、建物価格2,000万円内外と設定しています。同商品は創立70周年記念商品として、一部の拠点で先行販売した結果、2017年4月~9月までで600棟を受注するなど好調で、全国展開する運びとなりました。
ツーユーホームの中でも、中高級のグランツーユーで利用されている2×6を用い、新工法「W5工法」を開発しました。ユニットのコーナー部を新開発の金物で接合することで精度を高め、誤差±3mm程度だった従来のユニット施工精度が±1mmまで向上しています。
また、この新工法により、同社が推進している工場生産化率の工場に寄与し、天井や建具・設備等の工場内取り付けを実現しました。
現場施工の工数を従来から約15~20%削減し、職方の1名当たりのコスト削減につながっています。同商品はボリュームゾーンを建物本体価格2,000万円内外と想定しています。ボリュームゾーンにおけるシェア拡大を図り、平成30年度目標販売棟数を2,000棟に据えています。
(情報提供:住宅産業研究所)