新築戸建以外に広がるZEH住宅ハウスメーカー,リフォーム・リノベーション,太陽光/省エネ/ZEH関係
環境省は8月31日、2018年度予算の概算要求概要を発表しました。
住宅関連ではネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)向けの新たな補助事業として62億円を計上しました。また、家庭用蓄電池・蓄熱設備の導入を支援する事業では84億円を盛り込んでいます。ZEHに対する補助事業では、、、、
ZEH要件を満たす戸建住宅の新築・改修の場合、1戸あたり70万円の補助を行います。一定規模以下の分譲(賃貸)集合住宅においては、ZEH相当となる建築について追加費用の一部を1戸あたり70万円補助します。
ZEHというと、新築戸建住宅というイメージがありますが、賃貸住宅や中古リノベーション住宅にもその動きは広がっています。今回は、新築戸建住宅以外でのZEHの取組みをご紹介します。
全国初の全戸基準クリアの賃貸住宅
積水ハウスは、国内で初めて全住戸においてZEHの基準を満たす賃貸住宅「ZEH21」を石川県金沢市内に建設することを発表しました。
集合住宅では住戸数に対して相対的に屋根面積が小さく、1戸あたりの太陽光パネルの設置面積が不足するため、国の定めるZEH基準を満たすことが困難とされてきました。そのため、国の普及目標でも集合住宅のZEH化は対象外となっています。
積水ハウスが今回新たに建設するZEH賃貸住宅は、全13戸において、高断熱複層ガラスを採用する等、高い断熱性能を確保しながら、高効率エアコン、高効率ヒートポンプ給湯器、節湯水栓、LED照明等の省エネ設備を採用します。
これによりエネルギー消費量を最大限に削減し、各住戸に必要な太陽光パネルを平均2.4kWに抑えることで、日射量が少ない石川県金沢市においても全住戸でZEHの達成を可能としています。
賃貸住宅をZEH化することで、入居者にとっては、太陽光発電の自家消費により電力会社からの買電量を減らすことができ、光熱費を削減できるといったメリットがあるということです。
また、賃貸住宅オーナーにとっても、光熱費が安くなる分、入居者に対する訴求力が高まり、入居者の確保がしやすくなり、安定経営につながるといったメリット期待できます。
積水ハウスでは、2016年12月に名古屋市内で全国初の全住戸ZEHとなる分譲マンションを建設することを発表しています。完成予定は2019年の春です。
今後もZEH賃貸という新しい価値のある賃貸住宅を建設していくことで、新たな市場を創出するとともに、環境と社会に貢献できる住まいの供給を行っていくということです。
性能向上リノベーションでZEH化を実現
中古住宅においても、リノベーションによって性能を向上しZEH化を達成した住宅が発表されています。京王電鉄グループでリノベーション事業を行っているリビタは、YKKAPと共同で中古戸建住宅の性能向上リノベーションの実証プロジェクトを開始しました。
東京都の下北沢エリアで7月に竣工した「代沢の家」は、築30年の木造在来2階建てと地下RC造の混構造の中古戸建住宅を、「断熱」と「耐震」についてYKKAPの商品を採用し、一般的な新築物件の性能を上回るレベルへとリノベーションしています。
断熱については高性能樹脂窓と、天井と壁に高断熱材を使用しています。耐震性能は、開口部耐震商品を採用することで、開口部を減らすことなく、耐震等級30相当の強度を実現しています。
さらに、HEMSの採用、給湯、空調、LED照明等の省エネ家電と、6.3kWの太陽光発電を設置することでZEH化を達成しました。「代沢の家」は、2018年2月まで、リビタとYKKAP両社のモデル棟として活用するということです。
その後販売するということですが、購入者の協力を得て、温熱環境や燃費性能の実測値の定点観測を継続して行い、情報公開を行う計画となっています。販売価格は、土地代込みで1億5900万円ということです。
リビタでは、今回の「代沢の家」実証プロジェクトの結果を受けて、今後の中古戸建リノベーション事業における性能向上改修に活かしていくということです。
次回は、大手ハウスメーカーによる最新ZEH対応商品についてご紹介します。
(情報提供:住宅産業研究所)