インテリア提案型の住宅ショールーム商品・トレンド,ハウスメーカー
住宅購入検討者がモデルハウスを見た第一印象で自分の好みに合うかを判別できるのは、建物の性能よりも内装のデザインやインテリアです。デザインやインテリアを重視する客層には、プランと合わせて照明や家具も合わせてトータルで提案することで、新居での暮らしをより強くイメージさせることができます。
インテリア提案で潜在客育成も
自社で家具も販売している、あるいは家具メーカーや販売店と提携して、自社が手掛ける住宅とデザインテイストの合った家具・インテリアを提案している住宅会社も少なくありません。
広島県の山根木材は、自社で加工した木材の素材感を活かしたインテリアデザインを得意とし、県内で年間100棟内外を手掛ける地元の有力ビルダーです。
自社のプレカット工場にショールームを併設しており、昨年10月にはこのショールーム内に家具・インテリアショップの「デジマストック」を開設しました。
この店舗は大塚家具との業務提携によるもので、展示されている商品の9割は大塚家具で取り扱っている商品です。
店頭に立つ山根木材のスタッフは大塚家具から接客研修を受け、カタログ等の販促物も大塚家具から提供されています。山根木材ではこの店舗を活かし、同社で新築やリフォームを検討している客に対して、設計段階からインテリア提案を行います。
また、逆に家具の販売を入り口として、空間のトータルコーディネートとしてリフォームを提案することも想定しています。
北海道のジョンソンホームズの住宅ブランドの一つである「ナチュリエ」は、自然素材を活かした「ナチュラル&アンティーク」なインテリア提案が特徴です。
ショールームの「ナチュリエスタジオ」では、オリジナルキッチンの展示のほか、住宅のデザインテイストに合った輸入家具等を販売するインテリアショップを中心に、カフェやガーデニングコーナーを設けています。
インテリアや暮らし方の訴求で潜在客を集客し、新築・リフォーム見込み客として育てるという戦略を取っています。
自社で運営するインテリアショップのアクタスでは、客層の中心である高所得の独身女性をターゲットとしてリフォームセミナーを定期開催し、中古マンションの購入+リノベを訴求しています。
中古マンションは躯体をいじる必要がない分、インテリアの提案で差別化できます。
他社にはない輸入建材で差別化
カナダ輸入住宅最大手の、宮城県のセルコホームでは、東日本大震災で被災した仙台支店を建て替え、今年7月に新社屋を竣工しました。
木造3階建ての2、3階は会議室や事務所として使用しますが、1階の大部分は、自社の輸入住宅のテイストに合わせた壁紙や建具等の輸入建材を展示するショールームとしました。
当初はリフォーム用のショールームを想定していましたが、今後は新築の内装グレードアップ提案にも活用する予定です。
同じく仙台で今年6月にオープンした、北洲のマンションリフォーム専用ショールームでも海外メーカーの家具・照明、輸入壁紙を展示し、リフォームの内装デザインに合ったインテリアを提案します。
タブレット端末で選んだ壁紙の画像を白色の壁に投影し、リフォーム後の内装をイメージしやすいようにしています。
一般的なメーカーの建材や水回り設備は、他社でも同じメーカーの同じ製品を採用することができるため、どのグレードの製品が標準仕様に設定されているかというコスパ勝負になりがちで、大きな差別化にはなりにくいものです。
地元の木材や珪藻土等の自然素材、輸入建材等、他社では扱っていないような建材・素材は印象に残りやすく、検討初期客に対する差別化になります。
薪ストーブや造作キッチン等の独自性がある設備は趣味にも直結し、新居での暮らし方のイメージを広げることができます。
ここに家具やインテリア雑貨も合わせて提案することで客単価を高めることができ、家具の無料提供キャンペーン等を行えばお得感を感じさせることもできます。
性能の高い確かな躯体を提供することが第一ですが、その中のインテリアも同時に提供し、将来的には住宅に留まらず家具や趣味用品、ファッション等も合わせて総合的に提案できる住宅会社が求められるかもしれません。
(情報提供:住宅産業研究所)