内装・インテリアで感性に訴求商品・トレンド,集客・マーケティング
住宅購入検討者が業者選びをする際、会社の信頼性や価格の妥当性、親類・知人からの紹介等、様々な選択理由が挙げられます。各種アンケート調査等を見ると、耐震性や耐久性、気密断熱性といった建物の性能も重視される傾向にあります。ただし、、、
実際に住宅購入検討者がモデルハウスや完成見学会に訪れた際、その見た目だけでは建物の性能は伝わりません。
建物の性能は、構造模型や数値データ、実証実験映像等のツールを使った説明によって理解されるものです。
住宅の素人である検討客が初めてモデルハウスを見た時に、自分の基準に照らし合わせて好き/嫌いを判断できるのはデザインではないでしょうか。
デザインは性能と違って数字で説明できるものではなく、なんとなく自分の好みに合う、ここで暮らしたいと思えるといった感性に左右される要素です。
パッと見た時の第一印象で「自分の好みに合わない」と判断されると本来聞いて欲しかった性能の説明や会社の説明を聞いてもらえないということもあり得ます。
逆にデザインで気に入ってもらえれば、他社と完全に差別化することもできるはずです。
住宅は「ホームステージング」で売る時代に
住宅のデザインは素材や色づかい、間取り等で決まりますが、「住宅」という商品に直接付随しない、家具やインテリア雑貨の印象も強いものです。
最近では、常設のモデルハウス以外の、引き渡し前の施主の家を借りて行う完成見学会でも、家具やインテリア雑貨を運び入れて、モデルハウス並みに設えを整えるケースが増えてきています。
建売分譲や分譲マンションのモデルルームでは設えた家具を物件購入者にオマケで提供するようなサービスもあります。
中古住宅の流通においても、間取りやインテリアに合わせて家具や小物で空間を演出する「ホームステージング」という手法が一般的となってきました。
注文住宅ではなく、建売住宅や中古住宅といったすでに完成している物件の場合、購入検討者はWEBで物件の情報を探します。
WEBに掲載する物件の内観写真は、家具やインテリア雑貨で見映えよく演出することで付加価値を高めることができます。
デザインのトレンド
インテリアデザインにも様々なテイストがあります。
洋風モダンや和風モダンを基本として、ラフな木製家具やチェック柄を用いたアメリカンカントリー風、白い漆喰壁を基調とする南欧風デザインは定番化しています。
ここ数年で浸透してきたデザインテイストが北欧風です。基本はシンプルなデザインで、白を基調とした色づかいに家具やファブリックでカラフルな差し色を入れ、ミッドセンチュリーデザインの家具との相性も良いです。
北欧風デザインはカフェやスローライフといった文化とともに日本にも定着し、IKEAが進出してきたことの影響もあると思われます。
バリ島やタイ等のリゾートホテルをイメージしたアジアンリゾート風のデザインも増えてきています。
色づかいは白やブラウンを基調とし、籐やラタン等の素材の家具や照明器具を取り入れます。
低い家具で全体の視点を低く抑えてリラックス感を演出するインテリアデザインです。
昨年辺りから新たなトレンドとなってきているデザインテイストが、アメリカ西海岸/カリフォルニア風と、ニューヨーク/ブルックリン風です。
カリフォルニア風は、アメリカ西海岸の暖かい太陽と海辺のリラックスした雰囲気を取り入れたインテリアデザインです。
色づかいは白を基調としてマリンカラーのブルーを差し色に使い、素材は無垢材や古材風のペイントを施した木材を取り入れ、ヘリンボーン貼りにするとより西海岸らしくなります。
小物はデニム素材のものや、サーフボートなどのビーチアイテム、流木や貝殻等で設えます。
ブルックリン風は、ニューヨークのカフェをイメージしたデザインで、生活感にはやや欠けますが、お洒落で居心地の良い空間づくりの人気が高まっています。
ニューヨークでは元々倉庫や工場だった空間を改装してカフェにすることが多く、レンガ壁や黒いアイアン素材が特徴です。
リフォームの場合は、あえて配管を剥き出しにするという方法もあります。キッチンはカフェのようなカウンター型を採用し、食器やお酒のボトル等を並べて見せる収納とすると、それらしくなります。
凝ったデザインのインテリアは、そこに置かれた家具や小物から、趣味の話、暮らし方提案の話を広げることができます。
多数派ではなくても、好きな人には深く刺さるデザインを採用することで、特定の客層を取り込むことができます。
(情報提供:住宅産業研究所)