2017年版データに見る、住宅業界のウェブ集客事情集客・マーケティング,市場動向
今週と来週は、注文住宅を手掛ける工務店・ビルダーのウェブ活用、特に「自社ウェブサイト(ホームページ)」について解説します。まず今週は、いくつかのデータから、ウェブ活用の重要性を改めて確認しましょう。
注文住宅検討者の情報収集、紙→ウェブへのシフトがついに本格化
国土交通省が毎年実施している「住宅市場動向調査」の最新結果が、今年も公表されました。直近1年以内で住宅を取得した方を対象とした調査です。
この調査の中で、「集客」という観点で注目すべきデータに、「住宅取得時の情報収集方法」というものがあります。
住宅を取得した方が、検討段階でどのように住宅会社の情報を集めたのかを示しています。注文住宅取得者の情報収集ツールTOP5は、このようになりました。
——————————————
・住宅展示場で:51.2%
・知人等の紹介で:24.8%
・インターネットで:17.3%
・住宅情報誌で:14.8%
・自身や親族・知人の勤め先で:14.7%
——————————————
1位「住宅展示場」・2位「紹介」は長年不動ですが、今回、初めて「インターネット」が3位に浮上しました。
また、住宅会社の代表的な集客ツールである「折込み広告」はTOP5から漏れ(6位)、インターネットとは5ポイント以上の差がついています。すでにネット利用率が4割前後に達している分譲住宅・中古住宅と比べ、注文住宅はネット利用率が伸び悩んでいました。
しかし、最新のデータを見る限りでは、とうとう注文住宅においても、紙からネットへのシフトが本格化したようです。
「うちの会社はネットが苦手だから…」などの理由でウェブ集客に本腰を入れていなかった会社も、そろそろ逃げられない状況になったと考えて良いでしょう。
ネットで情報収集を行うお客様は、検討初期段階のお客様が多いと言われています。このようなお客様を「薄い」と切り捨てる会社もありますが、検討初期段階でお客様の候補に残らなければ最終的な契約先に選ばれることは有り得ないでしょう。
まだ伸びるスマホ普及率、来年にはパソコン超える?
ウェブでの情報発信において、近年見逃せないのが「スマートフォン」の存在です。
経済産業省が毎年実施している「通信利用動向調査」の最新結果によると、スマートフォン経由でのネット利用率は57.9%で、国民の半数以上がネットをスマホで利用していることが分かります。
一方、パソコン経由でのネット利用率は58.6%であり、スマホとの差はほぼ無くなりました。
次回の調査では、スマホがパソコンを上回る可能性もあるでしょう。さらに、世代別で見ると、40代以下のネット利用は、スマホ経由の利用率がパソコン経由を上回っています。
もちろん、パソコン・スマホ双方を利用している方もまだまだ多いのですが、「パソコンでネットを見ない」方が増えているようです。
40代以下というと、多くの住宅会社の主力ターゲットである「一次取得層」と重なります。この世代の情報収集は、パソコンではなくスマホがメインであることを、改めて心得なければなりません。
しかし、工務店はもちろん、比較的大手のビルダーでも、いまだに自社サイトのスマホ対応を済ませていないケースが散見されます。
また「とりあえずスマホ対応しただけ」で、使いやすさや情報の探しやすさへの配慮がないサイトも、まだまだ多いようです。
スマホ対応とは「自社サイトをスマホでも見られるようにする」ことではなく、「スマホで自社の魅力を十分伝えられるよう工夫する」ことであると考えましょう。
(情報提供:住宅産業研究所)