空き家に関する資格制度経営・人材育成,市場動向
空き家の増加が社会全体で問題視されていることを受け、各所で空き家の管理や活用を促進する動きが出てきました。また、こうした動きに伴い、空き家に関する資格というものも増えてきています。
今後、空き家ビジネスを実践していく上で、また、空き家の知識を身に付ける上でも意義ある資格となりそうです。
今回は資格の中で代表的な「空き家管理士」、「空き家相談士」について紹介いたします。
空き家の可能性に挑戦する「空き家管理士」
「空き家管理士」の資格制度を運営しているのは、一般社団法人空き家管理士協会です。「空き家の可能性に挑戦」というキャッチフレーズのもと、活動しています。
空き家管理士のメーンの業務は資格名の通り、空き家の管理です。空き家の管理というと、かつては近所の方や近くに住む親戚の方にお願いするケースが多かったでしょう。
しかしながら、空き家の増加とともに、空き家に関するクレームや犯罪などが増加しており、これまでの対応法では管理が難しくなっています。
そこで、空き家管理士は個人の資産である空き家の保護、ひいては空き家の資産価値の管理を大きなミッションとしています。
昨年春には2級資格が設立されました。1級の空き家管理士は管理をメーン事業として、不動産・建築関係者が多いのに対し、2級は管理を生業としてはいない方々を想定しているとのことです。
例えば介護事業者。老人ホームなどの施設入居の際に、利用者のかつての住まいが空き家になるというケースが多く、ここでのフォローが介護事業者にも求められてきているようです。
空き家管理士を運営する空き家管理士協会への入会メリットは以下が挙げられます。
1)空き家管理士と名乗って営業活動することができる
2)年に1回の実地研修を受講しスキルアップすることができる
3)協会名、ロゴマークを名刺等で使うことができる
4)協会の契約書、報告書を使うことができる(スターターキットの提供 ※有料)
5)協会内で情報を共有することでより一層サービスの向上を図れる
6)法令等の最新情報を随時得ることができる
7)社会のニーズに応えて地域への貢献が図れる
8)本業とのシナジー効果が期待できる
9)同協会の顧問弁護士に相談することができる(示談交渉や訴訟等を行う場合の代理人費用が10%オフになる)
空き家の将来を提案する「空き家相談士」
一般社団法人全国空き家相談士協会では、「空き家相談士」という資格制度を運営しています。
空き家に関するコンサルタントのような資格で、空き家を有効に活用していきたい時に相談相手となってくれます。
有効に活用するために、その物件の地域性、利便性などの特性を考えてリノベーションやリフォームを行い、より価値の高い物件(例えば店舗、事務所、寮、集会場、アパート、グループホーム、シェアハウス、ホテル、ゲストハウス等)にコンバージョンすることも視野に入れていきます。
一方で、空き家の可能性を探った後、最終的に解体を提案することもあります。この資格を取得するには2日間の講義を受けた後、1時間の認定試験に合格することが条件となります。
2日間の講義分野は多岐にわたり、総論、法律、登記、税務、建築、コンサル利活用など、合計12時間となります。
地方の人口減少と空き家問題の深刻化に伴い、ますます高まる空き家管理への需要に対応して空き家管理を行う業者も増えてきています。
それと同時に、ユーザーの財産である住宅の資産価値を維持、管理するためにも、より専門的な知識を持つ資格者の需要も増えていくことでしょう。
今回紹介した空き家に関する資格は、建築士などの国家免許と比較すると認知が乏しいものですが、住宅ストックの活用をさらに活発化させていくために、また、消費者にとって住宅ストックに価値があることの意識を定着させるためにも、重要な役割を持っています。
(情報提供:住宅産業研究所)