2016年を振り返る住宅商品トレンド~人編~商品・トレンド,ハウスメーカー
好調が続く賃貸住宅市場と比べ、戸建住宅市場は厳しい状況に置かれています。市場全体が落ち込む中、住宅会社各社が注力しているのが、富裕層からの受注の獲得です。
厳しい市場においても比較的安定的に受注を獲得することができるということで、2016年も富裕層をターゲットにした高級商品が各社から発表されました。
2016年も好調な富裕層向け住宅商品
積水ハウスは、想定価格1億円という富裕層向け商品である「グラヴィスステージ」を8月22日に発売しました。「グラヴィスステージ」は、同社の木造住宅「シャーウッド」の最高グレード商品で、「新しい日本の邸宅」をテーマに開発された商品となっています。
外観は、緩勾配の4寸屋根と横格子ルーバーバルコニーによって、伸びやかな水平ラインを強調しています。また、1200mm超の深い軒や、陶板外壁「ベルバーン」、自然石貼りによって、意匠性が高い邸宅らしい陰影を演出しています。
新開発の空間デザインである「クリアビューデザイン」は、古くから日本人に親しまれてきた縁側などの中間領域を現代風にアレンジしたもので、屋内外の天井面及び床面の仕上げ材と高さを揃えるとともに、天井高と同じ高さのサッシを設置することで、光、風、視線が透き通る内外一体型の空間を実現しています。
価格は、坪100万円からとしており、積水ハウスでは月10棟の販売を見込んでいます。
10年間で約14%増加 共働き世帯のための家事シェア
2016年の後半になると、住宅会社各社から共働き世帯向けの住宅商品の発表が相次ぎました。総務省の労働力調査によると、2006年から2015年までの10年間で、日本国内の共働き世帯数は約14%増加し、1,114万世帯になっています。
女性の社会進出が進む一方で、家庭内の家事負担は、女性の比重が高いままという問題を、住宅商品で解消しようという動きが出てきています。
大和ハウスは、家事を「分担」するのではなく、家事を家族全員で「シェア」することで、共働き世帯の家事負担を軽減するための工夫やアイテムを盛り込んだ戸建住宅「家事シェアハウス」を11月28日に発表しました。
「家事シェアハウス」には、帰宅してからリビングに行くまでの間に、身の回りの物を所定の位置に片付けられる「家事シェア動線」が提案されています。
玄関を入ると、自分専用のロッカーで郵便物を仕分け、靴や上着を収納します。その後、洗面室を通り手洗いや着替えなどを経て、キッチンやリビングへ移動するという一連の動作を、無駄のない動線で実現しています。
効率的に動きながら片付けることができるので、家族全員が少ないストレスで家事ルールを守ることができます。
同社では、これまでに一部エリアで試験展開を行っており、ユーザーの一定の評価が得られたということで、今後は全国で「家事シェアハウス」を展開していくということです。
パナホームは、共働き世帯を対象とした独自の調査結果を踏まえて開発した「カサートシェアデイズ」を7月29日に発売しました。
調査結果によると、男女間で配偶者への家事分担に対する意識の差があること、家事の担い手として子供への期待が高いということ、家事が家族のコミュニケーションを促進している一面を持つということが分かりました。
「カサートシェアデイズ」では、
・家族の誰が使っても、食事の準備がスムーズにできるオープンタイプの「ふれ愛キッチン」
・家族の部屋着やたたんだ衣類の一時置き、通勤カバンなどの置き場として活用できる「ファミリー収納」
・洗濯から室内干しまで一気に作業がこなせて、干しっぱなしにもできる洗濯専用ルーム「家事楽ドライピット」
・掃除道具をまとめて置ける「おそうじ収納」
・専用のメイクコーナーを設け、出勤前の朝の身支度がスムーズに行える「家族が同時に使える洗面室」
といった5つの空間アイデアを採用し、住まいの機能性を高め、共働き世帯をサポートしています。
「カサートシェアデイズ」の参考価格は、延床面積が115.62平米で、太陽光発電システムを5.8kWと、蓄電池を含めて2,950万円となっています。
パナホームでは、初年度の販売目標を1,400棟としています。
(情報提供:住宅産業研究所)