大手メーカーの16年度中間決算を読み解く ~下半期・通期の見通しは?~経営・人材育成,市場動向,ハウスメーカー
先週は、大手住宅メーカー8社の決算データをもとに、2016年度上半期の販売・受注状況を振り返りました。
今週は、2016年度の販売・受注予測を開示している7社(※)のデータをもとに、2016年度下半期を含む、通期の見通しについて解説します。(※大和ハウス・セキスイハイム<販売予測のみ>・ミサワホーム・パナホーム・住友林業・旭化成ホームズ・三井ホーム<受注予測のみ>)
販売:上半期の苦戦反映し下方修正目立つ
まずは、各社の前年度比での販売棟数・戸数を見ていきましょう。
大和ハウス :戸建▲3.0%、アパート+7.7%
セキスイハイム:戸建+2.1%、アパート+5.3%
ミサワホーム :戸建▲1.3%、アパート▲2.0%
パナホーム :戸建+1.6%、アパート+5.6%
住友林業 :戸建+0.7%、アパート+14.0%
旭化成ホームズ:戸建▲4.8%、アパート▲10.8%
戸建は、6社のうち3社が前年度比プラス、3社が前年割れを予測しています。期初の時点で通期予測を公表していたメーカーはすべて予測を下方修正しており、上半期の厳しい受注実績を色濃く反映しています。
アパートも、6社のうち4社がプラス予測となっていますが、各社とも期初時点からの下方修正が目立ちます。戸建より活況であるとはいえ、主要顧客層の動きの鈍化に加え、各社の獲得競争も激化していることから、販売環境は厳しくなりつつあるようです。
受注:巻き返し期すメーカー多数、商談長期化の打破がカギに
今度は、気になる受注棟数・戸数の予測です。先ほどと同様に、前年度比で見ていきましょう。
大和ハウス :戸建+0.4%、アパート+8.8%
ミサワホーム :戸建+6.5%、アパート+9.3%
パナホーム :戸建+2.3%、アパート+9.0%
住友林業 :戸建+3.5%、アパート+8.3%
旭化成ホームズ:戸建+3.5%、アパート▲7.2%
三井ホーム :+1.0%(戸建・アパート合算)
戸建は、合算となっている三井ホームを除く5社すべてがプラス予測です。またアパートも、昨年後半の報道の影響でマイナス予測となった旭化成ホームズを除いては、すべてプラス予測です。
上半期の受注実績を考えれば強気とも言える予測で、特に戸建においてこの傾向が顕著です。各社とも、下半期における巻き返しを期していると言えます。
ただし、足元の受注は苦戦が続いているようです。下半期のスタートとなる10月の受注は、各社とも前年割れが相次ぎました。
また、受注の先行指標となる集客についても、ここ数ヶ月はやや低調であるようです。先週解説した住宅ローン金利低下の定着に加え、昨今の国際情勢に起因する景気の先行き不透明感もあり、戸建市場の急速な回復は見込みづらいかもしれません。
しかし、来場はやや低調であるとはいえ、極端な悪化は見られないため、一定の住宅検討客が動いているものと推測されます。
一方で、商談の長期化・契約の先送り傾向も続いているようです。消費税駆け込み以降、繰り返し言われていることですが、「お客様に対して『いま建てる』ための動機づけを行う」ことが、これまで以上に重要になるでしょう。
お客様への個別の資金計画シミュレーションなどを通じて、家づくりを「いまの自分に必要なこと」と思っていただくための仕掛けが求められています。
(情報提供:住宅産業研究所)