大手メーカーの16年度中間決算を読み解く~上半期の実績は?~経営・人材育成,市場動向,ハウスメーカー
大手住宅メーカー8社(※)の、2016年度の中間決算が出揃いました。今週と来週は、この大手8社が公表したデータをもとに、2016年度上半期の住宅業界を改めて振り返るとともに、2016年度下半期の見通しについて解説します。
まず今週は、各社が公表した2016年度上半期の実績を見ていきましょう。
(※積水ハウス・大和ハウス・ミサワホーム・パナホーム・住友林業・旭化成ホームズ・三井ホーム・セキスイハイム<販売実績のみ>の8社。積水ハウスのみ中間決算7月、他は中間決算9月)
販売:戸建は3期連続の前年割れ目立つ、アパートは好調持続
はじめに、各社の前年度比での販売棟数・戸数の実績を見ていきましょう。
積水ハウス :戸建▲10.6%、アパート+7.8%
大和ハウス :戸建▲3.6%、アパート+3.4%
セキスイハイム:戸建+2.4%、アパート+1.6%
ミサワホーム :戸建▲3.5%、アパート▲13.3%
パナホーム :戸建▲3.1%、アパート▲9.2%
住友林業 :戸建+2.2%、アパート+20.8%
旭化成ホームズ:戸建▲1.1%、アパート+1.5%
三井ホーム :戸建▲5.4%、アパート+4.0%
戸建では、前年を上回ったメーカーは8社のうち2社にとどまり、残る6社が前年割れとなりました。前々年度(2014年度)は住林・三井を除く6社が、前年度(2015年度)は8社すべてがマイナスだったため、ハードルは決して高くないのですが、3年連続の前年割れが相次ぐという厳しい結果です。
2015年度の受注低迷を、そのまま反映していると言えそうです。一方でアパートは、8社のうち6社が前年比プラスとなりました。2014年度も続いたアパート市場の活況を反映していると同時に、戸建低迷に悩む各メーカーが相次いでアパート部門を強化していることも影響しているようです。
受注:戸建またも前年割れ目立つ、アパートやや鈍化も活況継続か
今度は受注棟数・戸数の実績です。先ほどと同様に、前年度比で見ていきましょう。
積水ハウス :戸建+1.9%、アパート▲4.3%
大和ハウス :戸建▲0.0%、アパート+8.0%
ミサワホーム :戸建▲4.0%、アパート+5.1%
パナホーム :戸建▲2.2%、アパート+10.4%
住友林業 :戸建▲2.8%、アパート▲7.0%
旭化成ホームズ:戸建▲3.8%、アパート▲17.8%
三井ホーム :戸建▲7.0%、アパート▲11.9%
戸建は、前年度比プラスは積水ハウス1社のみでした。消費増税後の反動減となった前々年度は7社すべてが前年割れ、前年度も積水・大和・住林を除く4社が前年割れのため、販売同様にハードルは低いのですが、各社とも苦戦が目立っています。
マイナス金利導入による2月以降の住宅ローン金利低下により、一時は受注回復の兆しが見られたのですが、低金利の定着によって住宅検討客の決断が鈍化し、再び受注が伸び悩んだようです。
一方でアパートは、前年度比プラスは7社のうち3社にとどまり、過半数の4社が前年割れという結果です。空室問題のが一部メディアで過剰に取り上げられたり、イギリスのEU離脱による株価低迷で、アパート検討層の動きがやや鈍化したことが考えられます。
ただし、ここ数年の活況で前年度のハードルが高いことを考えると、市場は比較的活発な状態が続いていると考えられます。
次回は、各社が発表した2016年度下半期の販売・受注予測を見ていきましょう。
(情報提供:住宅産業研究所)