「私は大変憂えている」商品・トレンド,経営・人材育成
ナックの松田です。12月11日にスウェーデンのストックホルムで、ノーベル賞授賞式が行われました。日本からは、東京工業大/大隅良典 栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞されましたね\(^o^)/
大隅教授の研究成果は、オートファジー(Autophagy)」の分子レベルでのメカニズムの解明に成功されました。「オートファジー(Autophagy)」は細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。
パーキンソン病など神経変性疾患にも関係し、その研究は今、神経変性疾患、癌、加齢に伴う病気などを治療する医療への応用が世界中で期待されています。この受賞のニュースを見て、私が非常に印象に残ったコメントがあります。
大隅教授の憂い
大隅教授は受賞決定後のコメントで、「私は大変憂えている」「少しでも社会がゆとりを持って基礎科学を見守ってくれる社会になってほしい」会見で大隅さんはそう繰り返しました。
「しかし、そういうことがなかなか難しい世の中になっている」そのことを、「私は大変憂えている」このようなことをおっしゃられていました。
このコメントの真意は、近年の政府の研究開発投資がすぐに応用できて、実用的な研究に偏りを見せていることを危惧されております。
続けて、「私は『役に立つ』という言葉がとっても社会をだめにしていると思っています。数年後に事業化できることと同義語になっていることに問題がある。本当に役に立つことは10年後、あるいは100年後かもしれない。 社会が将来を見据えて、科学を一つの文化として認めてくれるような社会にならないかなあと強く願っています。」
ゆとりを持って見守ってくれる社会
現代社会では、技術の進化によって情報伝達の速度が飛躍的にアップしました。それを使う側の人間の感覚も、それに合わせスピードアップしています。
簡単に例えると、スマートフォンなどでインターネットへの接続されるまでの時間を、、、1分待たされたら、「あれなんか、すごい遅いな!?」これが、2分、3分になったら、、、「回線か機器の異常かな?」と思いませんか?
でも、、、こんなの5~6年前は当たり前でしたよね。。。こういった感覚が、ものごとを考える、決める上でも、浸透しつつあるのではないでしょうか。
最近は携帯電話ひとつあれば、調べ物、買い物、振込、旅行の予約などなど、どこでも、なんでもできます。とっても、便利なことだし、ものごとをスピーディーに進めることができます。
ですが、何かを考えるたり、決めたりすることを、このスピードに合わせる必要はないような気がします。大隅教授の言葉を借りれば、「本当に役に立つことは10年後、あるいは100年後かもしれない。」もちろん、ムリ、ムダを判断して、削減していくことは大事です。
一方で、個人的にでも、会社的にでも、何か取り組んでいることや試みが、効果や意味がなさそうでも、信念があるならば続けるという選択があっても良いのではないでしょうか。
何をするにも、やり始めるのもやめるのも簡単なことです。でも、やっている時には実感がなくても継続しなくては得られないものも、必ずあります。
師走の忙しい時期ですが、そんな時期だからこそ、ゆとりをもって長期的な目線で、ものごとを考えてみると、気持ちの部分で少し楽になったり、来年へのヒントが見つかるかもしれません。