ZEH補助金制度の活用実態業界ニュース,市場動向,太陽光/省エネ/ZEH関係
今後の住宅の方向性の一つとして、家庭で消費するエネルギーと、創出するエネルギーの収支をゼロにするZEH化が推し進められています。国では2020年度にZEH普及率50%を達成する目標を掲げ、経産省では補助金の対象となる住宅会社の条件として、今年からZEHビルダー登録制度を開始しました。
まだZEH仕様の商品化には本格的に動き出していなくても、現時点でZEHビルダー登録だけはしておいたという住宅会社も少なくないでしょう。
ZEH登録ビルダーの目標設定の傾向は?
ZEHビルダー登録件数は10月公表の8次登録の時点で3,593件。ZEHビルダー登録は2020年までの各年度のZEH普及目標を示し、2020年度の目標を50%以上に設定して、毎年の実績をホームページ等で公表する必要があります。
ZEH登録ビルダーの目標設定の傾向を見ていきましょう。
登録ビルダーの初年度のZEH普及目標は10%以下に設定している会社が47.6%。現時点ではZEH仕様を強く推していないため、初年度を0%としている会社が2.8%です。
全体的には、初年度の目標を5~10%として、そこから5年で段階的に上げていき、2020年に50%を達成するという目標設定が多い傾向にあります。
特に初年度を10%として毎年10%ずつ上げていくという会社が多いです。各年度の普及目標の平均は、16年度:22.1%、17年度:30.4%、18年度:39.9%、19年度:49.4%、20年度:61.6%2020年の目標を最低水準の50%としている会社が47.3%と半数近くを占め、あまりハードルを高くせず、現実的な目標設定と言えます。
すでにZEHを自社の標準に近い仕様としている会社では、50%以上からスタートして2020年までに100%に近づけるという目標設定をしています。少数派ではありますが、初年度から5年間を通して100%を達成し続けるという登録ビルダーもあり、初年度の目標を50%以上に設定しているのが全体の13.4%です。
ZEH補助金の申請・採択の動向は?
今年度のZEH補助金公募は、当初は1~6次までが予定されていましたが、予算の状況から最終の5・6次は合わせて実施されたため、実質5回の実施となりました。
補助金公募の申請件数は1~6次までの累計で9,993件、交付が決定したのが6,356件で採択率は63.6%となり、申請のおよそ1/3が落選したことになります。
多額の予算が割り当てられた1次は申請が殺到したため落選者が多く採択率は75.6%。2次の採択率は96.2%に高まりましたが、そこから徐々に採択率は下がり、最終の5・6次でもかなりの競争率となったようで、採択率は17.1%まで下がりました。
補助金交付の要件の前年からの変更点は以下の通りです。
(1)1次エネルギー消費削減率20%以上
(2)採択は申請順ではなく性能順
(3)蓄電池が補助対象になる
特にポイントとなるのは(2)です。最低限のZEH要件を満たして早めに申請しても、それ以上に性能の高い仕様での申請が多ければそちらが優先的に採択され、予算に達した時点で落選することになります。
年間一次エネルギー消費削減量が多いほうが評価点は高くなりますが、それに加え、UA値を基準よりも20%以上強化する、性能表示(BELS)を付けるなどの加点要件があります。採択された申請の多くは、この加点要件も満たして総合評価を高めていると見られます。
経産省の平成28年度第2次補正予算ではZEH補助に100億円が追加され、11月14日から公募が始まっています。交付要件は前回と変わりませんが、加点要件が一つ増えました。それは、これまでZEH補助事業に取り組んだことのない住宅会社への優遇です。
ZEHビルダー登録を受けた後に、ZEH支援事業の交付決定を1件も受けていないZEHビルダーの申請が加点対象となります。2020年のZEH標準化に向けて、ZEH未経験のビルダー・工務店もZEH化に取り組んで欲しいという、国からの強力なメッセージと読み取れます。
(情報提供:住宅産業研究所)