大手メーカーの決算発表を読み解く~2015年度の振り返り~業界ニュース,ハウスメーカー
大手住宅メーカー8社(※)の2015年度決算と2016年度業績予測が、5月までに出揃いました。今回と次回は、この大手8社が公表したデータをもとに、2015年度の住宅業界を改めて振り返るとともに、2016年度の見通しについて解説します。
まず今回は、各社が公表した2015年度実績を見ていきましょう。(※積水ハウス・大和ハウス・ミサワホーム・パナホーム住友林業・旭化成ホームズ・三井ホーム・セキスイハイム<販売実績のみ開示>)
販売:反動減の影響続き大苦戦、好調の集合住宅でカバー
はじめに、各社の前年度比での販売棟数・戸数の実績を見ていきましょう。
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積水ハウス :戸建▲10.8%、アパート▲6.0%
大和ハウス :戸建▲ 5.7%、アパート+5.8%
セキスイハイム :戸建▲ 7.0%、アパート▲9.2%
ミサワホーム :戸建▲ 9.9%、アパート+2.6%
パナホーム :戸建▲ 4.1%、アパート▲1.7%
住友林業 :戸建▲ 8.3%、アパート+30.6%
旭化成ホームズ :戸建▲ 1.6%、アパート+15.0%
三井ホーム :戸建▲ 6.3%、アパート▲13.2%
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戸建は、2年連続で8社すべてが、前年度(2014年度)割れという結果に終わりました。
2014年度は、消費増税の反動減で各社とも棟数を落としましたが、その実績をさらに下回ったことになります。マイナス幅も5%を超えるところが目立ちます。
2014年度の不振による受注残の不足に加え、2015年度に入っても思うように受注が回復していないことが窺えます。
駆け込みの反動減以降、市場を反転させる力強い材料を、欠いていることが低迷の要因と考えられます。
一方でアパートは、前年度比プラスが4社、前年度比マイナスも4社と、明暗が別れる結果になりました。
アパートは相続増税の影響で2014年度も好調でしたが、そのトレンドが2015年も続いていることが分かります。戸建の大幅な回復が見込めないことから、各社がアパートに注力していることも影響しています。
受注:持ち直しの声聞かれるも、苦戦組が多数
今度は受注棟数・戸数の実績です。先ほどと同様に、前年度比で見ていきましょう。
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積水ハウス :戸建▲0.4%、アパート+ 1.6%
大和ハウス :戸建▲2.4%、アパート+ 7.6%
ミサワホーム :戸建+1.1%、アパート▲10.2%
パナホーム :戸建+3.9%、アパート+12.9%
住友林業 :戸建▲0.9%、アパート+ 2.5%
旭化成ホームズ :戸建▲9.3%、アパート▲18.6%
三井ホーム :戸建▲2.9%、アパート+ 5.7%
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戸建は、前年度比プラスは7社中2社にとどまりました。前年度(2014年度)の受注が低迷していたことを考えると、厳しい結果と言えるでしょう。
ただし、いくつかのメーカーでは下半期に入って受注の回復傾向が見られており、プラス材料と言えそうです。
一方でアパートは、7社中5社が前年度比プラスとなりました。戸建とは対照的に、好調だった2014年度の実績をさらに上回っています。
2014年度に比べるとやや動きが落ち着いた感もありますが、引き続き相続対策のニーズに加え、やはりアパートでも低金利が効いています。
利回りの良さ、投資目的など富裕層・首都圏を中心に、引き続き好調を維持しているようです。次週は、各社が発表した2016年度の販売・受注予測を見ていきましょう。
(情報提供:住宅産業研究所)